生命保険は、自分が死んだ時に残された方に金銭的な迷惑をかけない目的で加入するものです。
独身や子供のいない家庭や、子供が育った老後は葬儀費用を残せばいいのですが、子育て中に亡くなる場合には子育て費用を残してあげなければなりません。
一昔前には、定期保険が主流でした。
子供が一人前になるであろう年齢まで(だいたい60~65歳)に亡くなった場合に、2000万円~3000万円の保険金が出るという保険です。
これと、100万円~200万円程度の終身保険を組み合わせた「定期保険特約付き終身保険」というものを日本の保険会社は最も多く販売しました。
終身保険による葬儀の準備は、インフレ時代には用をなさないことは前回述べました。
今回は子育て費用というものにメスを入れたいと思います。
子育ての費用は、子供が幼い時に亡くなると多額となります。
しかし、子供が大学に入ればもうそんなには要らなくなります。
したがって、定期保険は掛け過ぎになり保険料が割高なので、今や主力は「収入保障保険」となりつつあります。
収入保障保険は、亡くなった場合には子供が大学を卒業するまで10万円~20万円などの金額が毎月年金的に支給されるというものです。
子供が幼い時に亡くなると長きに渡って給付されますが、子供が大学一年の時に亡くなった場合は4年間だけ給付されるという非常に合理的な保険です。
保険料も合理的な分、非常に安く月々数千円程度の掛け金で済みます。
このように、完璧とも見える収入保障保険ですが、やはりインフレには役立たずとなります。
例えば毎月10万円の給付が約束されている中で、物価が倍になれば実質5万円の価値の給付しかされないことになるからです。
では、インフレ時代にどうやって自分の死に備えればいいのでしょうか?
亡くなった場合に、奥さんが安心して子育てをできる費用をインフレになっても残してあげられる方法が実はあります。
その答えは、家賃収入が10万円~20万円程度の収益不動産を購入することです。
仮に10万円の家賃収入の物件としましょう。
この物件をフルローンを組んで購入します。
そして、団体信用生命(団信)を付けます。
そうすると、亡くなった際には団体信用生命保険が下りてローンが完済されます。
遺族にはローン返済のない純家賃収入を残してあげられるのです。
インフレになれば家賃も上がります。
物価が倍になれば、家賃は10万円ではなく20万円になっているでしょう。
この方法ならば、インフレになっても子育て費用をきちんと残してあげられるのです。
収益不動産の購入が、収入保障保険よりも優れた点を3点まとめてみます。
①インフレに対応した収入を残してあげられる。
②ローン完済まで生きた場合には、その後の家賃収入は自分自身の年金的収入となる。しかも、インフレに対応した年金代わりとなる。
③収入保障保険料は最大年間4万円の所得控除なのでせいぜい数千円の節税効果しかない。
これに対して、減価償却等で損益計算上は不動産所得をマイナスにできるので、万単位の節税効果が見込める。
以上のことから、子育て費用の保障は
定期保険<収入保障保険<収益不動産購入
という選択になることがお分かりいただけたと思います。