2013年12月25日水曜日

海外リートが今回の円安に反応しない理由

円安ドル高になると海外に投資するファンド類の円建て価格は通常上昇するのですが、海外リートは今回の円安には大して反応していません。
何故なのでしょうか?


今回、米国が量的緩和を縮小する予測と発表により米国長期金利が上昇しています。
長期金利上昇により日米金利差が広がるので為替は円安ドル高に振れています。

一方、不動産投資信託(REIT)は投資家からの資金に借り入れを加えてレバレッジを掛けて運用していますので、金利上昇はリートにとってはマイナス要因となり海外リートのドル建て価格は下落しています。

ドル建てリート価格は下落して、ドルは上がっているのでちょうど相殺されて海外リートの円建て価格はほとんど動いていないのです。


米国の景気回復は、リートにとってはプラス要因なので今後はドル建て価格の回復も期待できるでしょう。
また、来年噂される日銀の追加金融緩和は円安要因でありこの時起きる円安には素直に反応するでしょう。


ただ、リートは現物不動産投資と同じように基準価額(=物件価格)の変動に一喜一憂すべき投資商品ではありません。
安定した家賃収入(=分配金)が魅力なのだということを忘れないでいただきたい。

2013年12月9日月曜日

経営者責任と株主責任


 株式会社は株主がお金を出資して、株主総会で経営者(社長や役員)を任命して経営を任せるという仕組みです。


経営者は株主が出した資金を上手く活用して会社の利益を最大化する責任を負っています。
また、会社が法令違反などになった場合にも経営者責任が問われます。


経営者は雇い主である株主と社会に対して責任を負う立場と言えます。


一方、株主は会社が例え法令違反をしても、行政上も刑事上もその責任を問われることはありません。
お金を出すだけが株主の仕事だからです。


では、よく聞く株主責任とはいったい何なのでしょうか?


日本航空が破綻したとき、株主は株主責任を負わされました。
株式を買ったお金がパーになったのです。


株主として出資する相手を間違えた責任として、出資金の全部または一部を失う。
これが株主責任です。


逆に言うと、株主責任は出資金を最大全部失うだけで、会社が負ったそれ以上の債務を背負わされたり、会社がどんな業法違反になっても刑事責任を負わされたりすることはないのです。

株主は最悪でも出資金がパーになるだけ!
ある意味お気楽な存在が株主です。

ですから、その最低限の「株主責任」だけは理解して出資をして、後で文句を言わないのが資本主義社会で生きるための最低限のルールでありマナーなのです。


つい最近少額短期保険会社に少々出資しました。
上場できる可能性を感じたのですが、しなかったとしても生活に支障のあるお金ではありません。
その会社が最悪保険業法違反などを問われたとしても、私は単なる株主なので最悪出資金がパーになるだけでお気楽なものです。

よく、非上場会社に出資すべきかどうかという相談を受けますが、「株主責任」というものをよく理解し、最悪出資金が全額なくなってもあきらめることができるのであれば、宝くじ買うよりはいいんじゃないの。とアドバイスしています。


2013年12月5日木曜日

合格率や倍率(競争率)は、試験の難易度とは関係ない


昨日、宅建試験の合格発表がありました。
なんとか合格していました。
自己採点33点で合格ボーダーライン33点でした。ポール際ギリギリのラッキーゾーンに飛び込んだ感じです。

まあ、8月下旬から独学勉強を始めて2ヶ月で一発合格だったので上々の出来です。


今回の合格率は15.3%で例年の16%台よりも低くなりました。
倍率(競争率)は6.7倍です。


初回受験者の合格率はわずか3%らしく、実に競争率は33倍!


では、この試験がそんなに難関かというとそうでもありません。

私の大学受験の時の倍率は約2倍(合格率約50%)でした。
二人に一人が合格したわけです。


では、神戸大学合格よりも宅建試験一発合格のほうが17倍難関なのでしょうか?


大学受験の場合、センター試験(当時は共通一次試験)の結果を踏まえて願書を出します。
つまり、全員受かる気満々で誰が合格してもおかしくないという中での競争率二倍、合格率50%だったのです。

これに対して宅建試験の場合には、取り敢えず受けてみようとか、受かればラッキーとか、経験のために受けようなどという人達もかなりの数いると思われます。


毎年、レックの学生の平均点と合格ボーダーラインはほぼ一致しています
つまり、学校に通ってでも合格したいという人達の半数は通ることになります。
レック合格率約50%(倍率約2倍)ということですね。


 学校に行く人の中には、これまた本気の本気ではない人もいるでしょう。

こう考えていくと、超本気の人たちだけの競争率は1.5倍ぐらいではないかと推察できます。
つまり、本気で合格する気で受ける人の約3人に2人は受かるわけで、実際の合格率は60%を超えているのではないかということです。


このように、試験の難易度は本気の人の中での実質合格率や実質倍率で決まるのであって、表面合格率は関係ないということなのです。


これは、試験以外のビジネスなどにも当てはまることだと思います。

2013年12月4日水曜日

軽減税率導入などよりも、廃止しなければならない制度がある

消費税率のアップに伴い、食料品など生活必需品の税率を抑える軽減税率の導入が議論されているが、その前に免税制度や簡易課税制度の廃止を何故議論しないのだろうか。


消費者が消費税と思って業者に支払ったお金が、税として納税されずに業者の利益(益税)になってしまう制度はいい加減なくすべきだと思います。

前回は免税制度のしくみを解説したので、今回は簡易課税を簡単に説明します。

簡易課税は、仮払い消費税(他の事業者に支払った消費税)をこのぐらいだろうと業種ごとにみなし計算する制度です。
例えば、卸売業であれば売り上げの90%は経費で使ったであろうとみなす。
小売業であれば80%、製造業であれば70%、サービス業であれば50%を経費として使ったとみなして仮払い消費税(仕入れ控除)を概算するという方法です。

簡易課税を選択した売上高5,000万円(仮受消費税250万円)の製造業者であれば、実際に他者に支払った消費税に関わらず預かった消費税(仮受消費税)の70%を仮払い消費税とみなして差額の30%75万円を納税するということになります。

免税よりはましですが、実際に使う経費が少なければ、みなし額との差額はやはり益税となってしまいます。


基準期間売上高5,000万円以下の事業者はこの簡易課税を選択できます。

昔は、簡易課税は基準期間売上高2億円以下で免税は基準期間売上高3,000万円以下でしたから少しはましになっていますが、こんな制度は廃止して益税は無くすべきなのです。

池上さんあたりがテレビで取り上げればそういう機運も高まるかもしれません。


それから、免税制度も簡易課税制度も現在の税法上は完全に合法です。
ですから、これを事業者が活用するのは当然であるということを付け加えておきます。

2013年12月2日月曜日

消費税の本当の問題に怒れ!国民

 消費税は、消費者が負担して事業者が納税するという間接税です。


消費者が税金として納税したと思っているお金が、国に実際には納付されないとしたらどうでしょうか?


消費者や他の事業者から預かった消費税を、事業者が使い込んで滞納が起きていることは以前にblogで書きました。

これはその事業者がけしからんのであって、制度には問題ありません。


消費税が原則どおりにすべての事業者に対して適用されるのであれば、制度そのものには問題はないのです。


しかしながら、消費税には「免税」と「簡易課税」という原則とは外れた制度があります。

そしてこの二つは、消費者が消費税として事業者に預けたお金が、事業者の利益(益税)になるというとんでもなく「けしからん」制度なのです。



今回は、免税制度について説明します。


事業者は消費者や他の事業者から預かった消費税(仮受消費税)から、他の事業者に支払った消費税(仮払い消費税)を差し引いた金額を期末に納税するというのが原則課税制度です。

ところが、免税事業者はその差額を納税しなくてもいいのです。

基準期間の売上高一千万円以下の個人事業主および法人は免税事業者になれます。

基準期間は通常は二期前ですので、二年前に売り上げが少なかった個人事業主や法人は免税事業者になれます。
また、新規開業の個人事業主や資本金一千万円未満の新設法人も免税事業者を選択できます。


今期の売り上げが1億円(仮受け消費税500万円)、経費4千万円(仮払い消費税200万円)ならば、原則課税事業者には300万円の納税義務があります。

ところが、免税事業者ならばその納税義務がなく300万円は事業者の懐に入るのです。

そして、基準期間売上高で判定なので、今期の売上高が1億円いや10億円でも免税事業者というのが有り得るのです。


どうでしょうか?
消費税と思って支払ったお金が事業者の利益(益税)になってしまうこの制度は?


「実にけしからん!」
とお怒りの声が聞こえて来そうですが、実は
「あなたも消費税を飲んだことがある可能性が高いですよ」
と言えば驚かれるだろうか?


自家用車を売却したり下取りに出したことはありますか?
これに「はい」と答えた方は間違いなく消費税の免税事業者の特権を使ったことでしょう。


車屋に100万円で売った場合は、車屋は車両代金952,381円仮払い消費税47,619円という会計処理をしています。

そうなのです。
あなたは消費税を47,619円も預かっていたのです。
そして免税事業者として当然それは自分の懐に入れていたのです。

まあこれは余談となってしまいましたが、知らないうちに免税事業者制度を利用していた人もたくさんいるということは、日本全体で免税事業者制度によって納税されない消費税が実に多くあることが想像できるでしょう。


このように現在の消費税制度には税金なのに事業者の利益(益税)となって国に納税されないという「免税制度」「簡易課税制度」というとんでもない制度があるのです。


消費税率が上がることよりも、税が税にならない制度のほうが遥かに問題です。
こんな制度は8%増税時に廃止すべきであり、テレビで取り上げるべき問題なのです。