前回、企業や個人事業主は消費税を負担していないことについて解説させてもらいました。
どうも、本質が理解できなかった人がいるようですがこの続編を読めば理解されると思います。
①事業者は売り上げを上げたり報酬を貰うときに消費税を預かります。(仮受消費税)
②費用を支払うときには消費税を合わせて他の事業者に支払います。(仮払い消費税)
そして、期末の決算において①から②を差し引いた金額を国に納税します。
②のほうが多い場合には差額が国から還付されます。
このように消費税は事業者を通過しているだけで、事業者は消費税を負担しませんし、また損も得もしません。
還付されると得した気になりますが、他の事業者に払い過ぎた分が戻されているだけです。
逆に、納税すると損した気がしますが、預かり過ぎている分を納めるだけです。
営業マンAとBがいました。
月初に二人は会社から経費の仮受を10万円ずつしました。
Aは経費を13万円使い、Bは7万円使い、月末に経費精算をしました。
Aは会社から3万円を貰いました。ここでお金を貰うと得した気分になりますが、立て替えた分を返してもらっただけなので得した訳ではありません。
Bは会社に3万円を返さなければなりません。なんか損した気分かもしれませんが多く預かり過ぎていた分を返すだけなので、損した訳ではありません。
消費税はこのように仮受したものを一年間を通じて精算しているだけなのです。
負担していないのですから、節税などしようがありませんしする必要もないのです。
(消費税には免税制度や簡易課税制度がありますが、これらは消費税の原理原則から外れておりますので無視することとします。)
社員に給料を払うよりも、派遣会社に外注したほうが消費税の節税になるなどというとんでもないことをいう人がいます。
これを行うと、決算時に納める消費税は確かに少なくなります。
しかし、派遣会社に外注費を支払うときに消費税は上乗せしてすでに払っているのです。
先払うか後で払うかの違いだけで、まったく得などしていないのです。
私が最も言いたかったのがここです。
消費税に原則節税策などないということです。
では、今日の本題。消費税は誰が負担しているのでしょうか?
税理士XさんとサラリーマンYさんがいました。
両者の年収は同じ500万円とします。
税理士Xさんは顧問先から事業報酬として500万円を貰います。
この際、支払う側から見ればこれは課税仕入れ(消費税を転嫁(付加)していい経費)となります。
よって、500万円の報酬に25万円の消費税が付いてきます。
そして、Xさんは預かった消費税から他者に消費税を支払うことができるのです。
払い過ぎればもちろん還付も受けられます。
プロスポーツ選手も同じです。
サラリーマンYさんは会社から給与として500万円を貰います。
支払う側から見れば、給与は非課税仕入れ(消費税を転嫁できない経費)となります。
よって、500万円の給与には消費税はくっついてきません!
Yさんは消費税を預かっていないのに、他者に消費税を支払わなければならないのです。
もうおわかりいただけましね。
そうです。
給与所得者つまりはサラリーマンが消費税を負担しているのです。
消費税は実は「サラリーマン税」なのです。
では、なぜこのような仕組みになったのでしょうか?
消費税は経費にどんどん転嫁していく仕組みです。
そして仮払いした消費税が決算時に差し引かれて残りを納税します。
この際に、すべての経費に転嫁できるとすると、ぐるぐるぐるぐる回るだけで国に納税されてこないということに霞が関のお偉いさんは気付いたのでしょう。
そこで、給与には転嫁できないという仕組を考え付いたのです。(給与以外にもこの項目はあるがここでは割愛する)
給与に転嫁できなくすれば、会社が給与を支払った分は必ず会社に仮受消費税が残る!
その分が国に納税されてくるという訳です。
こうして、一年間に全国で支払われた給与×消費税率が確実に納税されてくる仕組みが出来あがったのです。
1 件のコメント:
なるほど。
税金関係はとても複雑で分かりにくいですが
この説明はとても良く分かりました。
ありがとうございます。
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