オフショア(タックスヘイブン)とは、資産の運用益(キャピタルゲイン及びインカムゲイン)に課税されない国または地域であるということを第一回では取り上げました。
第二回においては、その「主体」つまりは『誰が』課税されないのか?について解説します。
運用益非課税の恩恵を受けられるのは、その国または地域に居住する人及び本店のある法人ということになります。
例えばあなたが香港などに住所を移せば、運用益非課税の恩恵に肖れます。
しかしながら、日本に居住する限りは、香港などのオフショアで得た運用益に対して日本で納税する義務があります。
ただし、これは確定した運用益に対してであり、含み益には課税されません。
あなたが、日本の証券会社などで有価証券を購入して値上がりしていても、売却して利益を確定しなければ税金は掛からないのと同じことです。
(法人が売買目的有価証券を購入し、含み益がある場合には、評価益を計上して税金が掛かります)
話は戻りますが、私たち日本の居住者は、世界中のどこで得た所得に対しても、日本での納税義務があるのです。
ここのところが、オフショア(タックスヘイブン)に対する誤解の二番目ではないでしょうか?
オフショアの保険会社などで変額年金に加入した場合、運用中の運用益は含み益ですのでいくら膨らんでいてもそれは確定した利益ではないため課税されません。
変額年金というのは、加入者が保険会社などに預けた資金を元に、保険会社などが自己の名義で複数のファンド(投資信託)に投資して運用する年金です。
その保険会社などがオフショアに存するため、ファンドをスイッチング(銘柄入れ替え)をして利益を得ても、その利益には課税されません。
そういう意味においては、日本居住者も、オフショアの恩恵に肖れます。
(運用中の運用益には課税されないので運用効率が良い)
しかしながら、加入者が変額年金を解約(取り崩しという一部解約を含む)したり満期金を受け取ったりしたときに利益があれば、その利益を得る「主体」は日本居住者ですので、オフショアの恩恵は受けられません。
あくまでもオフショアの運用益非課税の恩恵を受けられるのは、そこの居住者またはそこの法人だけなのです。
では、オフショアに法人を作り、その法人名義で投資や事業を行えば、その法人はオフショアの恩恵を受けられるのでは?
理論的には正しい考えですが、それを封じる税法の規定がすでにあります。
それがいわゆる「タックスヘイブン対策税制」というものです。
これについてはまた次回。
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