2016年7月9日土曜日

オフショア(タックスヘイブン)に対する正しい認識⑤

今回もタックスヘイブン対策税制について述べます。

子会社や関係会社の判定には、「持株基準」と「支配力基準」があります。

株式会社において、その議決権の50%超を保有すると、決議という多数決には必ず勝てます。
これをその会社を支配しているといいます。

通常、その会社の株式を50%超保有すれば支配できますので、子会社の判定は「持株基準」が基本となります。

しかしながら、株式は過半数有していないが融資を多大にしているor役員を多数送りこんでいるなど、実質的にその会社を支配している場合があります。
そこで、持株比率だけでなくこの実質的に支配している基準を設けたのが「支配力基準」なのです。

上場企業などの連結子会社に該当するか否かを判定する際には、この「支配力基準」を用いるということが連結会計基準で定められています。

では、タックスヘイブン対策税制における「外国関係会社」や「特定外国子会社」の定義、さらに合算申告義務の定義についてはどうか?

ここでは、株式の保有比率しか書かれておらず、完全に「持株基準」となっています。

つまり、その会社がタックスヘイブンにあっても、現地の人以外の日本人または日本法人及びその関係者が直接または間接的に50%超株式を保有していなければ、そもそも外国関係会社の定義からは外れるため、特定外国子会社には成り得ないということになります。

さらに、もし万が一特定外国子会社に該当したとしても、その会社の株式を日本在住の個人または法人が10%以上持っていなければ、その会社に留保した所得(利益)を合算して申告納税する義務はない。
ということになります。

我が国は、法治国家であり、租税法律主義により課税されます。
これは、税法その他の法律に従って課税されるということであり、その条文に定義されたことに当てはまれば課税されます。

逆に言うと、条文の定義から外れれば課税することは出来ないということです。

租税法律主義に則るならば、「持株基準」しか定義していないものに「支配力基準」を用いることは法治国家としては許されないということが原則となります。

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