2014年6月19日木曜日

すべての減価償却資産の即時償却を認めれば、経済は活性化して法人税収も減らない

法人税住民税事業税の実行税率を、現在の35%から29%程度に下げることが議論検討されています。
 
 
これは、どちらかというと既存の和製企業のためや経済活性化のためではなく、外資の日本参入を促進する目的のような気がします。
また、法人税率を下げるとその分を補う財源も必要です。
 
 
日本の企業のためになり、経済も活性化されて尚且つ法人税の税収も減らない方法は別にあります。
それは、建物・車両運搬具・機械装置・工具器具備品・船舶・航空機などの有形固定資産からソフトウェアなどの無形固定資産までの減価償却資産の即時償却をすべてにおいて認めるという方法です。
 
 
これらの減価償却資産を購入時に全額を償却して損金算入に出来れば、企業は設備投資に積極的になります。
特に、期末に利益が余ったら「車を買おう。不動産を買おう。」となり、経済が活性化することは間違いありません。
 
 
では、即時償却にすると税収は減るのでしょうか?
即時償却した固定資産の帳簿価額は0(備忘記録1円)となり、当期の法人所得はその分減少して当期の法人税住民税事業税の納税額は減ります。
 
 
しかしながら、翌期以降に売却した際には、売却金額=売却益となりますので、そこで納税が発生します。つまり、即時償却しても課税の繰り延べになるだけでトータルの納税額は変わらないのです。
 
 
また、設備投資をすると、した側は損金計上ですが受けた側は売上計上です。
車を買えば車屋さんに売り上げが立ちそれに見あう利益が計上されることになり、国はそちらから法人税等を取れます。
 
 
是非とも、やってもらいたいと全業界が思うはずなのですがね。
 
特に自動車業界、不動産業界そして銀行は大歓迎でしょう。
 
即時償却は無理でも、せめて建物の定率法償却を復活させてもらいたいものです。

2014年6月18日水曜日

麻生発言のここが間違っている

麻生さんが最近日本の借金状況について次のような趣旨の発言をされています。

①「日本は借金大国というが、ギリシャのようによそ様から借りているのではなく国民から借りているだけだ。これは旦那さんが奥さんから借りているのと同じで、いくら借りても家庭内のことだから何ら問題ない」

②「日本は外貨を借りているのではなく自国の通貨の円を借りている。いざとなれば政府が円を刷って返せばいいのだからなんの問題もない」


みなさんいかがでしょうか?
何処が根本的に間違っているかわかりますか?

まず①から見てみましょう。
夫婦は運命共同体で対立するものではありません。
では、国家と国民はどうでしょう?


対立関係であることは明白です。
消費税などの税率を上げれば、国家は喜ぶが国民は喜びますか?

国家と国民は夫と妻のような運命共同体ではない!

だから、これは例えが悪いのです。


国家が国民から借金をしている正しい例えは、会社が従業員から借金をしているということになります。


国家と国民の関係と、会社と従業員の関係こそが同じなのです。

給料上げれば従業員は喜ぶが、会社の利益は減りますからね。


今の日本の状況を正しく例えると、次のようになります。

国民に銀行に預金させてそれをこっそり日本が借りて使い尽くしたのは、従業員に社内預金させてそれを会社がこっそり借りて使い果たしたのと同じだ。だから問題ない」


問題あるやろ!



では、②はどうでしょう?
いざとなれば政府は政府紙幣を発行できるようですので、ここは間違いではない。

間違いは、問題ないとの発言です。


今一千兆円もの紙幣を発行したらどうなりますか?

凄まじいインフレ円安になることが、この人は想像できないのだろうか?

国民にとっては副作用だが、国家にとっては副産物


 国家は国民の個人金融資産を借り尽くして使い果たしました。


このままでは国債の買い手が付かずに予算がたてられない。
それどころか、借り換え債を発行できないと期限が来た国債を償還できずにデフォルトの可能性も出てきます。


そこで政府は日銀に量的緩和を要請しました。

日銀はお金を刷れるので無尽蔵の国債購入能力があります。


日本国家はまさに無限の財布を手に入れたのです。


ただ、量的緩和には重篤な副作用があります。


お金をどんどん刷ればお金の価値はどんどん下がっていくのは当たり前の事です。

量的緩和によるインフレ円安は避けられません。


インフレ円安が進行すると物価や家賃などの生活費は高騰します。

今から20年後に1ドル=200円になっていたらガソリンはリッター300円に、タクシーはワンメーター1500円になるでしょう。
日本は原材料含めればすべてを輸入に頼っていますので、すべての物価は倍になってしまいます。


そうなると月に20万円の年金を貰っても、今の半分の価値になり生活は困難になります。


一方、これは給付する国家側から見ると大変楽になります。
貨幣価値の半分になった20万円の支給で済むからです。


貨幣価値が下落すると、債務を保証されている側は大変で、保証している側は楽になるのです。


それから、二千万円の金融資産を持っていても物価や家賃が倍になれば半分に目減りすることになります。

一方、貨幣価値の下落によって借金価値も目減りします。

巨額の負債を抱える国家にとっては、インフレ円安は願ったり叶ったりでしょう。


量的緩和によるインフレ円安は、国家にとっては副産物なのです

2014年6月16日月曜日

パンドラの箱を開けた日本


 国債地方債など日本の借金は1,000兆円に達しました。

一方、日本国民の個人金融資産は住宅ローンなどの借り入れを差し引いた純額で約1,000兆円。

これは、国家が国民のお金を全部借り尽くして使い果たしたことを意味します。

日本は国民という便利な財布を使い切りました。


銀行などの金融機関は、国民から借りたお金を全部国に又貸ししたということです。

こうなると、理論的には金融機関にはもはや新発国債を買うお金がないということになります。


しかしながら、この国は今年も来年も新たな国債を発行し、金融機関が引き受けます。


何故にこんなことが出来るのでしょうか?
何故に金融機関にまだそんなお金が残されているのでしょうか?


それは、日本が新しい財布を手に入れたからに他なりません。


この新しい財布は、日本国民のようにたかだか一千兆円でなくなるような柔い財布ではありません!
無尽蔵の財布であり、国家にとってはまさに打出の小槌です。


その証拠に、この新しい財布を手にしてから財務省は50年後には国の債務残高が8,000兆円になるとの試算を出しました。


8,000兆円ですよ、みなさん!

今からさらに7,000兆円日本は借金できるんですよ!



まさに無限の財布、日本銀行です。


量的緩和(金融緩和)とは、銀行などの持つ国債を日銀が買い上げることです。
そうすると、銀行にお金が流入し、新発国債を購入出来ます。
そしてまた、それを日銀が買い上げる。


日銀はお金を刷れるので、購買力は無尽蔵です。

こうして、国債購入永久機関を政府は手に入れたのです。


こんなのは禁じ手である日銀による国債の直接引き受けと本質は変わりませんが、適法です。


しかしながら、無限の量的緩和は国民にとっては大変な副作用をもたらすことになります。

これについてはまた次回。

2014年6月7日土曜日

収支計算と損益計算が一致する経営


収入-支出=収支
収益-費用=損益

 収支と損益は通常一致しません。


掛け取引が通常なので、収益(売上)計上時に直ちに現金入金がある訳ではなく、現金収入はその1ヶ月ぐらい先にずれます。

また、支出したお金のすべてが直ちに費用になるわけではありません。
販売用商品(棚卸資産)は、仕入れた時に費用に出来るのではなく売れた時に売れた分だけを売上原価という費用に計上出来ます。
車や機械などの固定資産は支出したお金が直ちに費用になるのではなく、耐用年数に応じて減価償却費という費用を少しずつ計上することになります。


 収益がすぐに収入にならずに、支出したお金は直ちに費用にはならない。


これでは、収益-費用で計算された利益はたっぷりあるにも関わらず、収入はまだ入って来ず支出は沢山先に出ていったからまったく手元にお金がなく、税金が払えない。という状況が生まれ、黒字倒産が起こることになりかねません。



経営者は、手元に資金(キャッシュフロー)を残すキャッシュフロー経営を心掛けなければなりません。


掛け取引の早期回収、支出≦費用になる工夫などが経営者の腕前となります。


ところが、経営者に特別な手腕がなくても収支計算と損益計算が一致する簡単な経営が存在します。

それが賃貸不動産経営です。


賃料は管理会社が当月分を前月末などに賃借人から徴収し、当月の月初に賃貸人に支払います。

そうです。
収益の計上と現金収入時が一致するのです。

また、支出と費用も一致します。
これは例を上げて説明しましょう。


賃貸不動産1億円(土地二千万円、建物八千万円)を自己資本二千万円、銀行借り入れ八千万円で購入したとしましょう。

ちょうど建物代だけを借り入れた計算になります。


通常、返済期間=建物の残存耐用年数であり、これを計算の簡単な20年間としましょう。


元金均等返済を選ぶと、年間の元本返済額は四百万円。
一方、建物の減価償却費も年間四百万円になります。

賃貸不動産経営の主な支出であるローン返済のうち、利息部分は費用になるので利息分に関しては支出と費用は完全に一致します。


ところが、元本の返済は、単なる資金移動なので損益取引ではなく費用には計上出来ません。
 元本の返済は、支出はあるが費用にはならない。

一方、建物の減価償却費は支出はないが、費用となる。
これが上手く相殺されれば、支出と費用は一致するのです。


残存耐用年数=返済期間で元金均等返済ならば、元本返済額と減価償却費は完全に一致することになります。

(元利均等払いにすると、元本返済額≦減価償却費となり、さらに手元資金(キャッシュフロー)を残し易くなります)



このように、賃貸不動産経営は特に意識しなくても収支計算と損益計算が一致することになり、経営手腕がなくても自然にキャッシュフロー経営が出来るのです。


だから、貸不動産経営はプロでなくても沢山の成功者が生まれているのでしょう。

そんな所にお金はありませんよ

確定拠出年金というものはご存知でしょうか?


公的年金を補完する目的で設けられた三階部分の年金のことです。

国が定めた年金制度ですが、強制加入ではなく、民間の金融機関などが運営管理機関になれると言ういわば半官半民とも言える制度です。


完全民間の個人年金とは異なり、国民年金や厚生年金と同じように掛け金は全額が所得の対象から外れるという優遇があります。


この確定拠出年金を中小企業に導入するコンサルティングをしているのですが、企業経営者や総務経理担当者の反応で驚かされることがあります。


確定拠出年金の運営管理機関は民間企業です。
だからなのだろうが、「運営管理機関が潰れたらどうなるんだ?」
ということを気にされる方が意外に多いのです。


意外に多いという表現を、逆に意外と感じられるかもしれませんが、仕組みをキチンと説明した後に出る質問だからおかしなことなのです。


企業型確定拠出年金の仕組みを、お金の流れに絞って簡単に説明します。


民間企業である運営管理機関が企業から口座振替にて毎月掛け金を徴収しますが、直ちにその掛け金は信託銀行に着金することになり、信託銀行が年金加入者の資金を管理します。


このように、運営管理機関をお金が「通過」するだけでそこにお金は滞留しません!
例えると、あなたが吊り橋を渡ったのと同じです。
渡り切ってから、万が一吊り橋が落ちたらどうなりますか?
どうもなりませんよね。
あなたはそこを「通過」しただけで、そこに居るわけではないからです。


運営管理機関にお金がある訳ではないので、「運営管理機関が破綻したら私達が預けたお金はどうなるのでしょうか?」という質問自体がナンセンスなのです。
そもそも運営管理機関に預けたということ自体も認識が間違っています。


では、加入者の資金が着金した信託銀行が破綻したらどうなるのでしょうか?


これまた答えは、「どうもなりません」になります。

加入者の資金はそこにはないからです。


加入者は年金資金を何で運用するかを決めます。


例えば三井住友銀行の定期預金を選択すると、加入者の資金は信託銀行から三井住友銀行に移動します。

米国株式ファンドを選ぶと、信託銀行からファンドに資金は移動します。


そうなのです。
信託銀行も通過するだけなのです。

年金加入者のお金は最終的に運用先である銀行やファンドに行っているのだから、既に通過した信託銀行の影響は受ける訳がありません!


もちろん、最終投資先である銀行が破綻すればペイオフの対象になりますし、ファンド価額が下落すれば加入者の年金資産は減ります。

言い方を変えると、加入者の資金は最終投資先にのみ影響を受けるということです。


運営管理機関も信託銀行も、資金が通過するだけでそんなところにお金はありません!

お金はお金があるところにのみ影響されるのは当たり前のことなのです。



これは確定拠出年金に限った話ではありません!


どんな話でも当てはまります。


あなたは次のどちらが安心できますか?

①信用できない人にうっかりお金を渡してしまったが、信用できる人がそのお金を預かってくれることになった。

②信用できる人にお金を渡したが、そのお金が信用できない人に渡ってしまった。


いかがでしょうか?


「お金は通過した所ではなく、在る所の影響のみを受ける。」