2014年6月7日土曜日

そんな所にお金はありませんよ

確定拠出年金というものはご存知でしょうか?


公的年金を補完する目的で設けられた三階部分の年金のことです。

国が定めた年金制度ですが、強制加入ではなく、民間の金融機関などが運営管理機関になれると言ういわば半官半民とも言える制度です。


完全民間の個人年金とは異なり、国民年金や厚生年金と同じように掛け金は全額が所得の対象から外れるという優遇があります。


この確定拠出年金を中小企業に導入するコンサルティングをしているのですが、企業経営者や総務経理担当者の反応で驚かされることがあります。


確定拠出年金の運営管理機関は民間企業です。
だからなのだろうが、「運営管理機関が潰れたらどうなるんだ?」
ということを気にされる方が意外に多いのです。


意外に多いという表現を、逆に意外と感じられるかもしれませんが、仕組みをキチンと説明した後に出る質問だからおかしなことなのです。


企業型確定拠出年金の仕組みを、お金の流れに絞って簡単に説明します。


民間企業である運営管理機関が企業から口座振替にて毎月掛け金を徴収しますが、直ちにその掛け金は信託銀行に着金することになり、信託銀行が年金加入者の資金を管理します。


このように、運営管理機関をお金が「通過」するだけでそこにお金は滞留しません!
例えると、あなたが吊り橋を渡ったのと同じです。
渡り切ってから、万が一吊り橋が落ちたらどうなりますか?
どうもなりませんよね。
あなたはそこを「通過」しただけで、そこに居るわけではないからです。


運営管理機関にお金がある訳ではないので、「運営管理機関が破綻したら私達が預けたお金はどうなるのでしょうか?」という質問自体がナンセンスなのです。
そもそも運営管理機関に預けたということ自体も認識が間違っています。


では、加入者の資金が着金した信託銀行が破綻したらどうなるのでしょうか?


これまた答えは、「どうもなりません」になります。

加入者の資金はそこにはないからです。


加入者は年金資金を何で運用するかを決めます。


例えば三井住友銀行の定期預金を選択すると、加入者の資金は信託銀行から三井住友銀行に移動します。

米国株式ファンドを選ぶと、信託銀行からファンドに資金は移動します。


そうなのです。
信託銀行も通過するだけなのです。

年金加入者のお金は最終的に運用先である銀行やファンドに行っているのだから、既に通過した信託銀行の影響は受ける訳がありません!


もちろん、最終投資先である銀行が破綻すればペイオフの対象になりますし、ファンド価額が下落すれば加入者の年金資産は減ります。

言い方を変えると、加入者の資金は最終投資先にのみ影響を受けるということです。


運営管理機関も信託銀行も、資金が通過するだけでそんなところにお金はありません!

お金はお金があるところにのみ影響されるのは当たり前のことなのです。



これは確定拠出年金に限った話ではありません!


どんな話でも当てはまります。


あなたは次のどちらが安心できますか?

①信用できない人にうっかりお金を渡してしまったが、信用できる人がそのお金を預かってくれることになった。

②信用できる人にお金を渡したが、そのお金が信用できない人に渡ってしまった。


いかがでしょうか?


「お金は通過した所ではなく、在る所の影響のみを受ける。」

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