2016年7月5日火曜日

オフショア(タックスヘイブン)に対する正しい認識④

では、タックスヘイブン対策税制について解説しましょう。

日本に居住する個人あるいは日本に本店のある法人は、世界中のどこで得た利益(所得)であっても日本で申告納税する義務があります。

オフショア(タックスヘイブン)において運用益非課税となるのは、そのオフショアに居住する個人またはオフショアに本店のある法人だけなのです。

そこで、こう考える人がいます。
よし、オフショアに移住しよう!なら良いのです。
移住すればオフショアの恩恵を完全に受けられますが、多くの日本人は仕事や生活の事情によりそうもいきません。

よし、オフショア(タックスヘイブン)に法人を作って、そこで資産運用をやろう!
それならば、確定利益にも日本の税金は掛からないはずだ。
と考えて、実際に行った人はいるでしょう。

それどころか、オフショアによっては運用益非課税のみならず、法人税も掛からない(あるいは極めて低税率)ところもある。
そこに法人を作って、その法人で事業を行えば、その利益には一切課税されないはずだ!
と考えて、実行した人もいるでしょう。

実は、この考えを封じるものが「タックスヘイブン対策税制」で、1978年度改正租税特別措置法で規定されています。

概要は次の通りです。
タックスヘイブン(実効税率20%以下の国または地域)にある外国関係会社が特定外国子会社等に該当し、かつ、日本人または日本法人がその株式の10%以上を保有する場合には、その特定外国子会社に留保された所得(利益)のうち、持ち株割合に対応する金額を日本人又は日本法人の所得とみなして、日本で合算課税する。

この文章を解説すると、
①現地の個人または法人以外の日本人または日本法人及びその関係者が、発行済み株式の50%超を直接的間接的に保有する会社が外国関係会社
②その外国関係会社がオフショアにあれば、特定外国子会社に該当する
③その特定外国子会社の株式を10%以上保有する日本人又は日本法人は、その所得を日本の個人または法人の所得に合算して申告納税しなければならない
ということです。

上記のような動機でオフショアに法人を作った人や法人は、この制度に当てはまるので、その願望は達成されないということです。







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