2015年4月24日金曜日

金地金は支払手段ではなく、モノである

金地金には代用通貨としての側面がありますが、税法上はモノとして扱われています。

ですから国内取引においては、課税資産として購入時には消費税を支払わなければなりません。

また、海外からの輸入時には課税貨物として税関に消費税を支払わなければなりません。


海外から携帯して持ち込む場合には、金地金1キログラムまでは税関申告不要で消費税が掛からないという説がありますが、これはまったくの誤解となります。


誤解の原因は次のことになります。

「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書」
100万円相当額を超える現金・小切手等を携帯して、外国に持ち出す又は外国から持ち込む場合には、税関に「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書」の提出が必要です。

申告対象
◎ 次のものの合計額が100万円相当額を超える場合
・ 現金(本邦通貨、外国通貨)
・ 小切手
・ トラベラーズ・チェック、旅行小切手
・ 約束手形
・ 有価証券(株券、国債等)
◎ 金の地金(純度90%以上)の重量が1kgを超える場合



これを見ると、1キログラムを越える金地金は申告しなければならないとあるので1キログラムまでならば申告不要と解釈しても無理は有りません。

さらに、金地金は支払手段(現金や小切手など)と考えてしまい、輸入時においてはモノ扱いされないから消費税が掛からないと解釈されてもおかしくはないでしょう。

しかしながら、よくよく見ると「支払手段の」ではなく「支払手段等の」 となっており、金地金は支払手段と並列されているので「等」に分類されると読み取れます。
そして、等ということは支払手段ではないので、やはり金地金はモノ扱いということになるのです。


モノ扱いということは、他の携帯輸入品(課税貨物)と同じく20万円を越える場合には、携帯品として「携帯品・別送品申告書」において申告をして消費税の支払いが必要となります。


非常にややこしいことなのですが、金地金1キログラムを携帯して輸入する際には支払手段等としての税関申告は不要だが、携帯品としての申告は必要で消費税の納税義務もあるということです


以上のように、税関が出している 「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書の記入例」を見ると、金地金1キログラムまでは持ち運べば申告不要なので消費税が不要と誤解し、悪意がないのに密輸になってしまう恐れがあります。

税関には、こういう誤解が生まれないような表現表示を望みます。

2015年4月23日木曜日

為替レートと物価の関係

 日本は輸入大国で、原材料を含めるとほぼすべての生活を輸入に頼っています。
従って、円高になればデフレ(物価安)となり、円安になればインフレ(物価高)となります。

では、為替レートと物価の関係が完全に比例するのでしょうか?
これを調べたところ、大変興味深いことになりました。

結果からいいますと、約10%円高が進行すると物価は約5%下がっています。また、約10%円安が進行すると物価は約5%上がります。

為替レートの変動量に対して、物価はその半分の変動量になる結果となりました。

何故なのでしょうか?
おそらく、企業や商店が物価の変動量を吸収しているのではと思われます。

円高になってもその分全部は価格を下げずに利益を商店や企業が留保する。

よく、円高還元セールとかいうのがあったが、こんなセール名があること自体が普段から円高差益を還元していない証拠である。

また、円安になったからと言ってその仕入れコストを全部価格に転嫁すると売れなくなるので、半分は商店や企業が泣いているのだろう。

こう考えると、日本の小売業などは円高のほうが儲かるのでしょう。

租税公平主義

 租税法律主義と並んで税法の精神の根幹にあるのが、租税公平主義の考え方です。

租税法律主義が法律に則った厳格な課税を目的とする考えなのに対して、租税公平主義はその名の通り公平性を重視しています。


以前、節税と租税回避行為の違いを説明しましたが、この区別はそもそも租税公平主義というものを論拠としているのです。

節税とは、一般に知られている適法な会計処理によって所得を圧縮して納税を少なくする事です。

一方、租税回避行為とは、1つ1つの会計処理は適法であるが、それらを「一般的に知られていない奇抜な方法で」組み合わせることなどにより、所得を圧縮して納税を少なくする事です。

租税回避行為を認めると、そんな方法を知らない人との公平性を保てない。
だから、例え1つ1つの会計処理は適法であるが否認する。
というような租税公平主義の観点から、税務調査などにおいては否認されてきたのです。


確かに、租税公平主義の観点から租税回避行為を否認することは適正かもしれません。
しかしながら、租税法律主義の観点からは租税回避行為は適法となります。

前述した武富士裁判のように、法廷で争えばほとんどの租税回避行為は適法とされるでしょう。


また、ネット社会となった現在において、どれだけ奇抜なアイデアも直ちに他人に知られてしまう現実があります。
この情報化社会においては、知らないことが悪いとされるので、租税回避行為を租税公平主義の観点から否認すること自体が合理性を欠くのかもしれません。



こういうことを書くと、私が租税回避行為を推奨したりしていると思われそうだが、それはまったく的外れです。


私自身は、納税を沢山する派であり、そういうことはしない主義です。


税金は所得100に対して40までであり、四千万円納税すれば堂々と表に出せるお金を六千万円残せるのです
1億円残したければ、1億円稼いで隠すのではなく、1億7千万円稼いで七千万円納税すればいいのです。
この考えでやって来たから、銀行融資を受けられるし、隠しているものがないから堂々と生きられるのだと思います。

2015年4月17日金曜日

租税法律主義②

租税法律主義と言う考え方を理解する上で重要な武富士事件を振り返っておきたい。

概要は次のようなものです。


武富士の会長が香港在住の長男(非居住者)に外国会社の株式(国外財産)約1,600億円分を贈与しました。


当時の税法の規定においては、「非居住者に対する国外財産の贈与については贈与税を課さない」となっていましたので、当然非課税として申告していませんでした。

これに対して税務当局は、実態のない香港移住を用いた贈与税の租税回避スキームだ!と激怒しました。

納税義務者の武富士長男は、修正申告に応じるはずはなく、税務当局は約1,300億円を追徴課税する更正処分を行いましたが、これに武富士側はまっこうから異を唱えて税務裁判となりました。


最高裁まで争われたこの税務裁判において最高裁は、実に法治国家として適正な判決を下し、その判決文の最後において租税法律主義の在り方を明確に示しました。


要約すると以下のようになります。


「一般的な法感情の観点から結論だけをみる限りでは,違和感も生じないではない。
しかし,そうであるからといって,個別否認規定がないにもかかわらず,この租税回避スキームを否認することには,やはり大きな困難を覚えざるを得ない。」

「納税は国民に義務を課するものであるところからして,この租税法律主義の下で課税要件は明確なものでなければならず,これを規定する条文は厳格な解釈が要求されるのである。」

明確な根拠が認められないのに,安易に拡張解釈,類推解釈,権利濫用法理の適用などの特別の法解釈や特別の事実認定を行って,租税回避の否認をして課税することは許されないというべきである。そして,厳格な法条の解釈が求められる以上,解釈論にはおのずから限界があり,法解釈によっては不当な結論が不可避であるならば,立法によって解決を図るのが筋であって(現に,その後,平成12年の租税特別措置法の改正によって立法で決着が付けられた。),裁判所としては,立法の領域にまで踏み込むことはできない。

後年の新たな立法を遡及して適用して不利な義務を課すことも許されない。結局,租税法律主義という憲法上の要請の下,法廷意見の結論は,一般的な法感情の観点からは少なからざる違和感も生じないではないけれども,やむを得ないところである。」


この確定判決がもたらしたものは非常に大きいものとなりました。

課税するには法根拠の存在が不可欠であり、拡大解釈は認められないということから、現在の税法上適法なものを否認することは出来なくなったのです。

また、法に穴があるならば法改正すればいいのだが、その新しい法律を過去に遡って適用することは許されないとも明確に述べられています。

さらに、一旦課税した約1300億円を返すにあたり、その間の利子(なんと、約400億円!)を国民の血税で支払うことになったことに対して、税務当局への大きな批判が巻き起こったことは言うまでもありません。


この判決以後、税法の要件を満たしていないものに感情的な課税をすることがなく、租税法律主義の精神が守られるようになったことは、法治国家として大きな前進だと思います。


なお、判決文にもありますように、非居住者に対する国外財産の贈与に対しては、その後の税法改正によって現在は課税になっています。

2015年4月16日木曜日

租税法律主義

消費税法という科目を勉強していてつくづく思うことがあります。

免税事業者制度や簡易課税制度があるために、これを何とか工夫して使用することで課税を逃れてきた事業者と、その穴を塞ぐために改正に改正を重ねられたいたちごっこの歴史のせいで、非常に複雑化しています。

もう、免税事業者制度や簡易課税事業者制度自体を無くせばすっきりするのにと感じているのは私だけではないでしょう。

また、日本は法治国家なので法の範疇で様々な工夫をすることが許されています。
それは、節税策においてもです。

従って、現在の税法において課税できないことに新たに課税するには法改正が必要なのです。
これが、法律に基づいて課税するという租税法律主義と呼ばれる考え方の基本です。

そして、法改正がされた場合に適用されるのは、あくまでも法の施行時から未来の期間であり、過去に遡って適用することは不可能なのです。

法が遡って適用されたらそこはもはや法治国家とは言えません。
例えば、後部座席シートベルト着用が義務付けられる前にシートベルトをしていなかったとして、違反を認定されたらどうでしょうか?
そんな国にはもはや住めないですね。

属地主義と属人主義②

日本の税制は、属地主義から属人主義に向かうだろうと予測されています。

属人主義にすると、日本国籍である限りは、非居住者になっても日本で課税できることになるからでしょう。
こうすることで、富裕層が香港・シンガポールなどに移住する意味を無くそうとして行くということです。

日本の富裕層は、そもそもこの日本のおかげで富裕層になれたのですから、日本に納税義務が続くというこの方向性には私は賛成です。

しかしながら、現在は属地主義です。
ですから、将来属人主義の税制に変わったとしても、その時からその制度は適用されるのであり、遡ることは決してないのです。

属地主義と属人主義

 日本の法律は、基本的に属地主義の立場を取っています。

刑法などは、原則として国内犯を処罰するとしています。
日本国内で行われた犯罪について法を適用するというのが属地主義の考え方です。


一方、刑法などでは日本人が国外で犯した罪にも刑罰を適用する「国外犯処罰規定」というものが例外的に定められています。
これは、属人主義の考え方の適用です。


しかしながら、あくまでも属人主義は例外的な考え方であり、原則は属地主義なのです。


では、税法はどうでしょうか。
税法は、日本に限らずほとんどの国が完全に属地主義の立場を取っています


属人主義は、納税の基準を人に求める考え方で、日本以外に居住していても、国籍が日本であれば日本に納税となります。


一方、属地主義は、納税の基準を居住している場所に求める考え方で、日本国籍であっても日本以外に居住していれば(非居住者という)そこに納税となります。
(ただし、非居住者が日本で得た所得には源泉所得税20%は掛かります)


国籍ではなくその居住地(法人の場合には本店又は主たる事務所の所在地)が何処にあるかが重要となります。

記憶に新しい武富士の相続騒動も、相続人が非居住者ゆえに起きた騒動でした。

また、海外にある外国法人が得た所得からはその本店所在地のある国に納税されるというのが原則となります。

2015年4月13日月曜日

やはり不起訴、あとは国税の出番か

みずほ銀行の行員が行った巨額詐欺事件。
前にも書いたが、やはり予想通りに展開しているようだ。

元行員(事件当時はもちろん現役の行員)は起訴されたが、一緒に逮捕された二人の勧誘役は処分保留で釈放されました。

やはり、詐欺と言うのは立証が難しいようです。
最初からだます意図でないと詐欺罪は成立しないのです。
自分たちも信じ込んでいたという主張を覆すことは困難だと検察は判断したのでしょう。


確かに投資詐欺は、ほんの一握りの確信犯(ワル)に信じ込んだアホが群がって広がることが多い。
そして、アホたちも大抵は自分のお金もやられているので、加害者兼被害者という側面もあるのでしょう。


しかしながら、こういう投資詐欺に関わった人間たちはほぼすべての人が「脱税」という罪を犯しているのです。

勧誘役が行員から得た手数料はもちろん、被害者が受け取っていた配当もおそらくは収入(又は収益)として誰一人申告して納税していないでしょう。

中には、億単位の手数料を得た勧誘役もいるようです。

詐欺はだます意図の立証が困難だが、脱税はそうではないので、国税庁が検察と組んで立件してくれることを我々納税者は期待しています。

2015年4月3日金曜日

預金封鎖②


 今回は、前回と逆のパターンを考えてみましょう。

アルゼンチンの人が、日本の金融機関に口座を持っていた場合です。


アルゼンチンが財政破綻して預金封鎖が発令されたとき、この日本にあるアルゼンチンの人の口座はどうなりますか?

どうもなりませんよね。

そして、これは
「たとえ、アルゼンチン政府がこの口座の存在を知っていたとしても」
同じなのです。


日本の金融機関が、破綻したアルゼンチン政府の要請に対してこの人の口座だけを封鎖すると思いますか?

前回書いたように、預金封鎖は金融機関全体に行われるのであって、口座単位でやるものではないのです。


海外の金融機関に預けたお金は、日本が万が一財政破綻して預金封鎖が発令されたとしても、封鎖されることはありません。
その金融機関が日本の国家権力外にあるからです。

そして、その効力は例えその存在を日本に知られていても損なわれないのです。

このことを理解していれば、海外にある口座やお金を隠すことが、如何に馬鹿馬鹿しいことであることが分かるでしょう。

そもそも、海外にある時価5千万円以上の資産はその存在を申告する義務があり、隠すこと自体が危ないことなのです。

預金封鎖

最近、テレビでも預金封鎖が取り上げられているようです。

国家の財政が破綻した場合に、国民の資産で国家の損失を穴埋めするためにあらゆる金融機関から資産を出せなくするのが預金封鎖です。
実際に我が国では戦後間もなく実施され、90%が没収されたようです。

預金封鎖というと円預金だけが封鎖されるように思いますが、封鎖されるのは金融機関のものすべてです。
銀行の円預金・外貨預金・投資信託・貸金庫の中のもの、証券会社の株式・債券・投資信託、保険会社の保険・年金など。

また、預金封鎖は国家破産した国全体で行われ、金融機関ごとに全部が封鎖されます。
そこにある外国人の口座も一緒に封鎖されるのです。

このように、預金封鎖は口座単位で行われるのではなく、金融機関単位で行われるのです。


では、あなたがアルゼンチンの金融機関に資産を預けていた場合を考えてみましょう。

もし、アルゼンチンが財政破綻して預金封鎖が発令されれば、あなたの口座も封鎖されて没収の憂き目にあうことでしょう。
アルゼンチン国民以外の口座だから封鎖されないなどどということはあり得ません。


もし逆に、日本が財政破綻して預金封鎖が発令されたときはどうなるのでしょうか?
アルゼンチンの金融機関が日本政府の依頼を受けてあなたの口座だけを封鎖するなどということはあり得ないでしょう。

2015年3月27日金曜日

果たして本当に勧誘役を詐欺で立件できるか

 みずほ銀行本店応接室を舞台にした現役行員が行った詐欺事件。

前にもブログに書きましたが、私もこの投資詐欺の勧誘を四年ほど前に受けていました。


中々最もらしいストーリーだったのですが、次の2つが引っ掛かりましたので乗りませんでした。



一番の問題は、みずほ銀行とではなくその行員との金銭消費貸借になっていたことです。
しかも、元金も利金も振り込みではなく現金での受け渡しといういかがわしさ。
これは、銀行にではなく銀行員に金を預けるのであり、明らかに表に出せない裏金を運用すると偽って騙しとる計画だなと感じました。
(被害総額200億円とも言われたこの事件ですが、最近の報道では数十億円になっているのは表に出せないお金をやられ人が多いのではないかと推察しています)



 銀行員が個人受けするのは珍しいですが、相場がいいときに証券マンが個人受けしてその後の暴落で行方不明になるという事件は今までもありました。
また、保険屋が顧客に一時払いさせて個人受けし、保険証券を偽造するような事件も結構ありました。


金融機関自体は詐欺をしませんので、金融機関にお金を預けるのは安全です。
しかしながら、金融機関の人に預けるのは、最初から悪意を感じるので最も危険かもしれません。


金融機関特に銀行を盲信している日本人がほとんどなので、本店の応接室でしかも恰幅のいい肩書きのある現役行員による話を信じたのも無理はないでしょう。
しかしながら、あくまでもこの話は行員個人に金を貸すという契約だったのです。


それから、もう1つの乗らなかった理由は勧誘役の存在です。
私の時に提示されたのは、預ける元本に対して月に2%の利率でした。
その横でニッコリ微笑む勧誘役のA女史。

これは、マージンを入れたらもっと利率は高くなるな。と思いました。
後から調べると案の定、行員から勧誘役に出ていたのは月に8%だったようです。
そこから勧誘役が抜いた後の利率が、見込み客に提示されていたのでしょう。


月に8%は年に約100%であり、これは成り立たないなと思いました。


今回の事件。ある意味画期的なのは首謀者の元行員(当時はもちろん現役)だけでなく、勧誘役二人も逮捕されていることです。

他にも大口の勧誘役は複数いるようで、そこにも捜査の手が伸びているようです。


ただ、勧誘役を詐欺で立件出来るかどうかということには疑問を感じています。
何故ならば、詐欺罪が成立するためには「最初から騙す意図だった」ことを立証しなければならないからです。

善意だったが結果としてダメだったというのは詐欺にはなりません
それが詐欺ならば、倒産した会社や不渡りを出した経営者は全員詐欺罪になってしまいます。
それどころか、「君を幸せにするよ」と言ったのに離婚した人も詐欺罪となり刑務所が満員になってしまうでしょう。


行員本人は、当然すべてのからくりを企んで最初から騙す意図でやったことは明白です。

しかしながら、勧誘役をしていた人間は本当の話だと信じこんでいた可能性もある
もちろん、確信犯もいるでしょうが。


この区別は難しいかもしれませんが、勧誘役をした人間自身が自分のお金を預けていたか否かで判断できるのではないだろうか。
本当に信じていたならば、他人を勧誘する前に自分がやる筈ですからね。


そう言えば、私を勧誘したA女史は、自分も億単位で預けて毎月配当を貰っていると言ってたので、少なくとも彼女は確信犯ではなかったのだろう。


いずれにせよ、勧誘役を確信犯として詐欺で立件を本当に出来るのか?
それとも、不起訴になるのか?

私は、この事件はここに注目しています。

2015年3月25日水曜日

金利と利率と利息と利子と利回り

金利と利率と利息と利子と利回りの五つをキチンと対比させて説明できる人は、アシカとオットセイとアザラシとトドとセイウチを区別できるぐらい少ないでしょう。

まず、金利と利率はほぼ同じで、これは%を意味します。
また、利息と利子もほぼ同じで、これは金額を表します。

100万円を預金して、金利または利率が5%ならば、利息または利子は5万円ということになります。
先日つり革広告で「金利0円」というのを見ましたが、これは厳密に言うと誤りで、正しい表現は利息0円または金利0%でしょう。

金利と利率は、預金は金利で債券は利率という説もありますが、厳密には区別されずに使われています。

利息と利子は、借りたほうから見ると利息で貸したほうから見ると利子と言う説がありますが、まったく逆の説もあり、最近は明確な区別はありません。
敢えて言うならば、利息は口語的で利子は文語的ということかもしれません。
利子所得とは言いますが、利息所得とは言いませんので、利子のほうが固い言葉なのでしょう。

では、金利や利率と利回りはどう違うのでしょうか?

金利や利率が予定を表すのに対し、利回りは結果を示すと覚えておけば良いでしょう。
例えば、100万円を利率5%で5年間複利運用したとしましょう。

5年後には、1,000,000円×1.05×1.05×1.05×1.05×1.05=1,276,281円となります。
5年間で得た利息合計は276,281円で、年あたり55,256円なので、利回りは5.5256%と言うことになります。

預金の場合には元本が変動しませんので、利率を複利計算して単利に置き換えたものが利回りとなります。

債券の場合はもう少し複雑になります。
額面100万円、クーポン利率5%の債券を5年間保有後に110万円で売却した際の利回りを考えてみましょう。
5年間で得たクーポン利息が25万円、そして売却益が10万円ですからトータルリターンは35万円。
これを100万円で割ると、利回りは7%ということになるのです。

2015年3月9日月曜日

新刊が出来ました

しばらくブログを更新していなかったのは、本を執筆していたからです。

題名は「あなたに成功と豊かさをもたらす営業の極意」

内容は、コンサル型営業のノウハウ書となります。

コンサル型営業というのは、見込み客が抱える様々な問題の解決策として自社商品を提案するという営業スタイルのことです。

健康上や美容上の問題の解決策として、健康食品や化粧品や美容機器などを販売する方。
保険の見直しや資産運用などお金にまつわる相談ごとに応じるファイナンシャルプランニング業に携わる方。
副収入を得られる方法として、連鎖販売やアフィリエイトを提案する方。

このような、問題解決業ともいうべき営業に関わる方々にとっては非常に興味深い内容になっておりますので、読んで感想をお聞かせ願います。

2015年1月13日火曜日

是々非々で行こう

 ある人の言うことや行うことが絶対に正しいなどということは、それこそ絶対にありません。


また逆に、この人の言うことや行うことはすべて間違いということもありません。


誰が言ったから正しいとか間違いだとかではなく、一つ一つのことを別個に捉えて検証し、正か誤かを判断するという考え方が「是々非々」というものです。


日本人に欠けているのは、この是々非々の精神であると一刀両断しておきたい。

よく詐欺などに騙された人が
「信頼しているお医者様から紹介されたからてっきり……」
とか
「偉い大学教授の大先生もされていたので……」
などと言うのがよい例です。


とかく日本人は、一つの分野で優れていると他のことも何でもわかるや何でも出来ると思い込んでしまいがちですが、そんなことはあり得ないのです。


道を極めたプロフェッショナルほど、専門以外は素人以下なのです。

特に、金融教育をしていない我が国においては、どんなに偉い博士も社長も幼稚園児以下の金融知識と考えて間違いないでしょう。


萬田銀次郎がこんなことを言っていますが、つくづく真理だと思います。
「医者は泥棒を捕まえることは出来ないし、警官は病気を治せない!この事を分かっていれば詐欺にはひっかからんのだ」

2014年12月30日火曜日

人間は、総合的判定を下して下されて生きている

 自分の100%味方なのは、自分だけである。
 100%自分のために動いてくれるのもまた、自分だけである。


 一方、他人は自分にプラスをくれたりマイナスをもたらしたりするのが当たり前である。
すべての人が自分のために生きているのだから。
ここでいう他人とは、自分以外のすべての人を指します。
何人(ナンビト)たりとも、自分のために生きてはくれません。


 自分に恩恵だけくれて、迷惑は一切かけない他人などいるわけがないのです。


ですから、プラスとマイナスを総合的に判定して、人付き合いを決めてこなしていくしかないのでしょう。



最近、ある人からとんでもないマイナスがもたらされました。

しかしながら、その人からはかつて物凄い恩恵を受けていました。

総合的に考えると、プラスのほうがまだまだやはり多いので、これからもお付き合いしようと思います。


自分と他人との関係は、まさに逆もまた真なりなのでしょう。


事業をしていて前に進んでいる限りは、他人に迷惑をかけてしまうことは避けることは不可能なのだろう。
ですから、私もまた他人からプラスとマイナスの総合的判定を日々受けているのだと自覚しています。

そして、総合的判定の結果、関係を切られるのもやむを得ないとも思います。
自分もその逆をする場合があるからです。

人間関係はすべて、この総合的評価により今後付き合うか否かを判定し、また、総合的評価により付き合っていただけるか否かの判定をされて、構築と崩壊が繰り返されるのだろう。


生きている限り、今よりもよくなることを追求する限り、意図しないことにより他人に迷惑をかけてしまうことは避けられないだろう。
これを避けるには前向きに生きないようにするしかない。


前向きに生きていくことを選ぶならば、マイナスを上回るプラス力を身に着けて発揮していくしかないのではないか!
と最近つくづく考えています。

2014年12月21日日曜日

出口なき金融緩和

私は、日本の金融緩和と米国の金融緩和はまったく目的が異なると見ています。

リーマンショックによる経済危機を脱するために、アメリカは金融緩和(量的緩和)を行いました。

$の供給量を増やしてドル安に誘導し、輸出を増やして日本車などをシャットアウトしました。


米国の金融緩和の目的は、産業を立ち直らすことだったのです。
ですから、立ち直った今は量的緩和を終了して、来年以降はゼロ金利政策も解除して利上げに向かう「出口戦略」があるのです。


一方、日本の金融緩和も表向きは景気対策とされているので、景気が回復すれば出口に向かうと信じている人がいます。

ところが私は、目的は異なると考えていますので出口もない!と思っているのです。


日本の金融緩和の本当の目的は
①財政ファイナンス
②債務の圧縮
と見ています。

政府が発行した国債を間接的に日銀が購入して、国に間接的に融資をする財政ファイナンスです。
直接購入は禁じ手ですが、金融機関が一旦購入したものを買い上げるのが量的緩和として許されています。

そして、円安に誘導することによって、年金や国債などの国の債務の実質的目減りを企んでいるのでしょう


今後も未来永劫、国債は発行され続け、政府の債務が無くなることもない。


財政ファイナンスや債務圧縮目的の金融緩和には終わりはない、出口はない!
ということなのです。

2014年12月14日日曜日

消費増税延期で、逆に住宅市場冷え切る

8%から10%への消費税増税が1年半延期されました。

予定どおりに2015年10月から10%への増税実施ならば、前回同様に2015年3月までに新規着工契約を締結すれば完成引渡が10月以降になっても8%が適用されるという特例も実施されていたことでしょう。

この特例によって、ここから駆け込み需要を住宅業界はあてにしていたことでしょうが、見事に裏切られました。

ただでさえ、この春以降の増税前駆け込み需要の反動減に苦しんでした住宅市場はしばらく冷え切るでしょう。


これは逆に、家を建てようとする人にとってはチャンスです。
原油暴落による材料費の下落もあり、建築コストは下がるであろうからです。

2014年12月2日火曜日

日本国債格下げだが、財政破綻はどんどん遠退く


社内公用語を英語に変えて来たIT企業があります。
元々の本業に加えて、ネット銀行、ネット証券、ネット生保の金融3分野も揃えています。

この企業グループ、日本に本社があらなければならない理由はない。


社内公用語を英語にしたのも、本社機能をいざとなれば海外に移すためなのではないかと推察している。


ですから私は、日本の証券会社としてはここをメインに選んでいます。
そもそもネット証券なので、本社がシンガポールなどになっても支障はありません。
むしろ、日本の財政破綻前にそうしていただけると預金封鎖されずに有難いと考えています。



そんなこの企業グループが、日本の球団を有して日本に本社があるうちは、日本の財政破綻はないのでしょう。


今も円安は進行し、日本の債務は実質的に目減りしています。
円安が進むに連れて、財政破綻は遠退いているのです。

2014年11月28日金曜日

ドルベースに直せば真実が見えて来る

民主党政権時代、国民の金融資産は1,500兆円でした。
(住宅ローンなどを控除する前の総資産ベース。純資産ベースでは約1,000兆円)

それが、今は1,600兆円ですから、国民の金融資産は100兆円増えたように見えています。


また、国家の借金は900兆円から1,000兆円に100兆円増えたように見えています。


このように、円という目盛りで測ると、国民の金融資産は増えて、国家の借金も増えたことになります。


では、これをドルベースに直してみましょう。


数年前の国民の金融資産1,500兆円÷75円=20兆ドル。

現在の国民の金融資産1,600兆円÷118円=13.6兆ドル。

20兆ドル→13.6兆ドルと、実に3割以上も減ったことが分かります。


一方、数年前の国家の借金900兆円÷75円=12兆ドル。

現在の国家の借金1,000兆円÷118円=8.5兆ドル。

やはり、国の借金も12兆ドル→8.5兆ドルと3割減っています。


このように、ドルベースで見れば、国民の金融資産は3割減り、同時に国の借金も3割減っているのです。

ドルベースに直して初めて真実が見えてくることに気付けた人だけが、これからのインフレ円安時代に対する対策を出来ることでしょう

2014年11月27日木曜日

消費税増税<流動資産税導入<インフレ政策

 異次元金融緩和によって、過度な円高が是正されて輸出産業を中心に大企業は元気を取り戻しました。

ここまでは、アベノミクスは成功していたのだが、消費税増税がいただけなかった。


デフレを脱却するためには、「金を使うことを正義」とし、「金を溜め込むことを悪」としなければならないのです。

ところが、金を使うことに係る税金を増税してしまいました。
これでは、消費は落ち込んで当然です。


デフレ脱却のためには税金は、フローにではなくストックに掛けるべきなのです。

日本は、預貯金の利子や有価証券の運用益に課税する制度はあるが、預貯金や有価証券といった流動資産を保有していること自体に係る税金は有りません。

これは、不動産などの固定資産の保有に係る固定資産税があることに対して不公平なことです。


消費税を増税するよりも、流動資産税を導入したほうが、デフレを脱却する方向に向かうでしょう。


ただ、インフレ政策をやり続けるならば、実質的には流動資産税を課しているのと同じ効果が有ります。


民主党政権時代に比べて、円の価値は3割以上下落しています。
これは、国民の金融資産(預貯金などの流動資産)が3割減り、同時に国の借金も3割減ったことを意味します。

つまり、流動資産税を30%以上徴収したのと同じ効果があったのです。


こう考えると、インフレ政策を続けさえすれば、増税などしなくても国家財政健全化は推進できるのです。
インフレ政策さえやっていれば、消費税増税など必要ないどころか、消費税を無くすことも可能なはず。


それをしないのは、インフレ政策が国民→国家への資産の移転であることを悟られたくないのではないか?と思えてならない。