2017年1月30日月曜日

ポンジスキーム

ポンジ・スキームとは、詐欺の一種で、「出資してもらった資金を運用し、その利益を出資者に(配当金などとして)還元する」などと謳っておきながら、謳っていることとは異なって実際には資金運用を行わず、後から参加させる別の出資者から新たに集めたお金を(やはり運用せず)以前からの出資者に“配当金”などと偽って渡すことで、あたかも資金運用が行われ利益が生まれてそれが配当されているかのように装うもののこと。
と定義づけられています。

チャールズ・ポンジという人物が、最初にこの形態の詐欺を行ったのでこの名称が付けられ、ポンジスキームの最大の特徴は「蛸足配当」にあります。
出資された資金が運用されて、その運用益から配当されるのが「正当な配当」。
一方、蛸足配当は、タコが自分の足をかじる様に自分の(あるいは他の出資者の)お金が運用には回らずにそのまま配当されるというものです。

まず、次のような小規模なポンジスキームの手口を見ていきましょう。
ミニポンジ詐欺師から「私に100万円を預ければ、毎月3%3万円を配当しますよ」という誘いに乗った人が100万円を出資します。
詐欺師は約束通り毎月3万円を配当します。(昔は振込が多かったが、最近は配当所得が税務署にばれないように手渡ししますよというのが主流のようです)
毎月配当をもらった人はすっかり信じてしまいますが、もちろんこれは運用などされていない蛸足配当です。
月に3%ですから33カ月間は預かったお金から捻出できるため、嘘がばれません。
その間に信用させて「こんなに配当あるなら、私さらに1千万円預けるわ」と増資させられれば詐欺師の勝ちです。
その瞬間に詐欺師がドロンするのは言うまでもありません。

本格的なポンジスキームは、これに出資者に新たな出資者を紹介させるという手口が加わります。
「お友達を紹介してくれれば、その人の出資金額に対して毎月1%配当しますよ。」という悪魔のささやきに乗って、次々と新たな出資金が流入すれば、蛸足配当が長続きできるようになります。
しかしながら、この紹介料が多段階になっていき、蛸足配当利回りがどんどん高くなるためいずれは破綻します。

ひと昔前に流行ったポンジスキーム121ファンド(FX投資をうたったもの)やスピーシー(ブックメーカーアービトラージ)などは、出資者への配当が月2~3%で紹介料を合計すると月10%の利回りが必要でした。
本当は全く運用せず、新たな出資金を配当や紹介料に回す蛸足配当自転車操業のため、数年で破綻しています。

最近はDの付くポンジスキームが多く、数年前にマレーシアカジノを舞台にしたものは配当利回りが以前の倍ぐらいをうたったため1年程度で破綻しました。
最新ポンジは月になんと33%などをうたっているため、破綻スピードもより速くなるでしょう。



ポンジスキームかどうかを見分けるポイントは、その胴元が新たな出資金以外に収益を得ているか否か?にあります。

例えば、太陽光ファンドに出資する話ならば、そのファンドが太陽光売電収入を得ているか否か、
不動産投資ファンドに出資する話ならば家賃収入を得ているか否かということです。

ポンジスキームは、出資で集めたお金を胴元が何かに投資して運用しているふりをしているだけで実際には運用などしていませんので出資金以外には獲得するお金はありません。

まっとうなファンドなどは、出資者以外から運用による収益をきちんと得ているのです。
ですから、もし投資話があなたに来たならば、まず行うことは一つ。
その胴元が、集めた資金を投資している運用から、継続的反復的にかつその規模に見合う収益を得ているか否かのエビデンスを出させることです。
(巧妙な詐欺においては、少しだけ投資して一時的に微々たる収益を得る可能性がありますから、
この継続的反復的かつ規模に見合うという観点は重要です)

もし、胴元が継続的反復的かつ規模に見合う収益を、うたっている投資から実際に得ていればポンジスキームの疑いは晴れるでしょう。

しかしながら、そのエビデンスを開示しないのであれば、それはポンジスキームである可能性が100%に限りなく近いため、すぐに避難しましょう。
君子、危うきに近寄らず。














2016年12月18日日曜日

全部本業!

様々な仕事をしている関係で
「久保さんの本業は何ですか?」と聞かれることがあります。

私は、「手掛けていることはすべて本業です」と答えます。
どの仕事も同じように情熱を注いで本気でやっているという意味です。

どうせ何かをやるのならば、その姿勢でやらないと面白くない。
これは仕事に限らす、レジャーやレクレーションにおいても同じです。


ところが、本業とそれ以外の副業で、明らかに取り組む姿勢が異なる方がいます。


そもそも、何故、本業以外のことをするのでしょうか?
それは、本業だけでは食べていけない、あるいは、将来が不安だからなのでしょう。

サラリーマンが副業で事業を行ったり、自営業者(会社経営者含む)が本業以外のビジネスを多角経営したりするのはごく自然なことです。
何故ならば、ほとんどの職業人が本業一本で満足の出来る所得を得ていないからです。

本業だけでは心許ないから副業を行う。
にもかかわらず、どうせ副業だからと本業とは異なる姿勢で取り組む人がいるのは、見ていて可哀そうになります。

そんな姿勢で取り組んで、成果など出る筈がないからです。
「あなたがいい加減な姿勢で取り組んでいるその副業を、唯一の本業としている人もいるということに気付かないですか?」
と言いたくなるが、敢えて言いません。

本業と異なる姿勢で副業に取り組むぐらいなら、最初から本業だけやっとけばいいのに頭悪いな!と感じているのは私だけではないでしょう。

2016年10月19日水曜日

オフショア(タックスヘイブン)に対する正しい認識⑨


私は、投資に関して聞かれた際には自分が今現行っていることをお伝えしています。
それがすべてにおいてベストとは限らないが、少なくともベターなことを選択していると思います。


ただし、それはその時の「今現在」においての話です。
時が経てば、当然情勢が変わりますので、選択も変えなければなりません。


2008年のリーマンショック後、米国の金融緩和により、その緩和マネーは新興国に向かいました。

ですから、5~7年前においては、ブラジル柄みの投資は正解だったのです。
米ドルはゼロ金利でしたので、金利差の面においてもブラジルレアルなどは魅力的でした。

ところが、3年前から米国は量的緩和を打ち切りの方向に向かいました。
そうなると、新興国から緩和マネーが引き上げられるのは当然です。
また、米ドルは利上げに向かうので、金利差の観点からも、もはや新興国には旨味が無くなって行きます。
ですから私は、その頃からブラジルレアルや豪ドルが絡む投資からは手を引き始めています。


このようなことを、過去に出会って話した人にいちいち連絡することは不可能です。


ですから私は、この一刀両断blogにおいて、情勢の変化により投資方針を変える時は警告することにしております。
この、新興国投資に関しても、過去にblogで警告していますのでご確認ください。

私から何らかの情報を得た人は、「このblogを見ないのは自己責任」という認識でお願いします。
「○○さんが言うからやったのに」などという人が、その○○さんの書いているブログを見ないのは、それこそ言語道断なのです。


オフショア(タックスヘイブン)に関しての情勢も、大きく変化しています。


オフショアの二大利点である、運用益非課税と秘匿性のうち、「秘匿性」に関しては完全に無くなることとなりました。


現在のオフショアは、ブリティッシュバージンアイランド(BVI)などという名称に代表されるように、英国主導で作られました。


これに、米国が異を唱えて、米国主導で新しいオフショア世界を作るのではないでしょうか。
またもや、結局アメリカですね。
米国は、CRS不参加です。
ちなみに、CRS不参加な身近な所は、米国と関係の深いフィリピン。
そして、国ではない台湾といった所ですね。



今後、従来のオフショア国は、財産隠しには一切使えなくなります。
オフショアは、運用中の運用益に課税されないという繰延効果のみに使いましょう。

2016年9月26日月曜日

オフショア(タックスヘイブン)に対する正しい認識⑧

久しぶりのオフショア関係の記事です。

CRS(共通報告基準)に参加する国一覧
●2017年適用国
アングィラ、アルゼンチン、バルバドス、バミューダ諸島、ベルギー、英領ヴァージン諸島、ブルガリア、ケイマン諸島、コロンビア、クロアチア、キュラソー島、キプロス、チェコ、デンマーク、ドミニカ、エストニア、フェロー諸島、フィンランド、フランス、ドイツ、ジブラルタル、ギリシャ、グリーンランド、ガーンジー、ハンガリー、アイスランド、インド、アイルランド、マン島、イタリア、ジャージー島、韓国、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルグ、マルタ、メキシコ、モンセラト島、オランダ、ニウエ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、サンマリノ、セイシェル、スロバキア共和国、スロヴェニア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、トリニダード・トバゴ、タークス・カイコス諸島、英国
●2018年適用国
アルバニア、アンドラ、アンチグアバーブーダ、アルーバ、オーストラリア、オーストリア、バハマ、バーレーン、ベリーズ、ブラジル、ブルネイ・ダルサラーム、カナダ、チリ、中国、クック諸島、コスタリカ、ガーナ、グレナダ、香港、インドネシア、イスラエル、日本、クウェート、レバノン、マーシャル諸島、マカオ、マレーシア、モーリシャス、モナコ、ナウル、ニュージーランド、パナマ、カタール、ロシア、セントキッツ・ネイビス連邦、サモア、セントルシア、セントヴィンセント・グレナディーン、サウジアラビア、シンガポール、シント・マールテン、スイス、トルコ、アラブ首長国連邦、ウルグアイ、バヌアツ

この一覧を見た日本人が最も気になるのは、2018年適用国に香港と日本が入っていることだろう。

2018年適用国は、2018年に情報開示がなされるという噂と、2017年になされるという噂があります。
いずれにせよ、来年以降の話だと思っている人がほとんどだと思いますが、どうやらそう悠長な話でもないらしいという情報が入りました。

それは、情報を開示するのは2018年ではあるが、その記録自体は2016年末に取られるということです。
この情報によると、2016年の12月31日における金融機関の口座名義人(サイン権者なども含まれる)及び口座残高などが記録され、その情報が2018年に適用国間において開示されるということです。

CRSについては、今後も様々な情報が入ってきますので、適宜述べていきたいと考えています。

2016年8月26日金曜日

転売業者は悪くない

 人気アーティストのコンサートチケットなどは、大変競争率が高くプラチナチケット化しています。

そこで、これを買い占めてネットで転売している業者が存在し、業者が不当な利益を得ているとの非難が集まっています。


当のアーティストやプロモーターも、これを批判し、規制する方向性を打ち出しています。
こんなことが罷り通れば、本当にコンサートに行きたいファンが行けないとか、ファンが不当に高額なコストを負担させられているなどというのが反対理由のようだ。


プロモーターは、本来自分たちに帰属すべき利益が転売業者に流れることに対するジェラシーが本音だろう。


まあそれはさておき、私は根本的に転売業者に責任転嫁するのは間違いだと思います。


この問題の本質は、人気イベントのチケット価格が適正価格ではないことなのです。

例えば、嵐のコンサートツアーチケットが一枚一万円で、キャパシティ5万人に対して、行きたいファンが30万人いたとしましょう。
これは、競争率が6倍であり、行きたいけれども行けないファンが25万人もいるという状況を意味します。

しかしながら、ここで重要なことは、嵐のコンサートに一万円ならば行きたいファンが30万人いるのだというのが正確な状況ということなのです。

もし、三万円ならばどうだろうか?
五万円でも同じ人数が行きたいと思うのだろうか?
十万円出してでも行きたいというファンがそんなにいるだろうか?


このように、価格と価値を天秤にかけていけば、5万人というキャパシティにちょうどピッタリの適正価格というものがあるはずなのです。


えっ、どのようにすればいいかって?
そんなものは市場原理で決まるような販売方法にすれば良いだけです。


具体的には、一月間などの期間を設けて、ファンが「希望購入価格と希望購入枚数」を申し込むブックビルディング方式の入札を行えば良いのです。
こうして入札期間を終えたら、チケット売り出し価格を決定できます。
仮に、七万円以上の申し込みが5万人いたならば、チケットの売り出し価格を七万円とし、七万円以上での申し込み者に一律七万円で割り当てるということになります。


ブックビルディング方式の入札ならば、結果的に一律料金となるため、異常に高い価格での購入もなくなります。


チケットに限らず、中古品の売買は、売りたい人と買いたい人の市場バランスによって適正価格が形成されます。

それに比べて、新品は売る側が勝手に価格を決めるから適正価格にならないのです


フェラーリの限定車であるラ・フェラーリは世界で399台が限定販売され、日本における正規ディーラー価格は約1億8千万円です。
二億近い価格にもかかわらず、大人気で一瞬にして売り切れました。

今、並行輸入車などは四億円以上で取引されています。

このように、新車よりも中古車のほうが高くなるのは、新車ディーラー価格が適正価格ではないからなのです。
もし、ディーラーが、中古業者やディーラー車を手に入れた客が不当に儲けているなどと批判したらどう感じますか?

私は、アホちゃうかとしか思いません。


限定数と購入希望者数が一致する適正価格で最初から売れば良いのです。


何時間も待つ行列ができるラーメン屋なども、何故適正価格で売らないのか?
私には理解できません。
行列が出来るのは、価値に対して価格が安すぎるからなのです。

もちろん、価格を上げすぎたら客は減りすぎるでしょうが、ちょうど良い客数になる適正価格まで値上げすれば良いのです。


その点、アパホテルは偉い。
同じ部屋を、閑散期には数千円、繁忙期には数万円で売るという、市場原理に沿った適正価格を付けているからです。

わずか15平米程度の狭いシングルルームが一泊四万円超なんてボッタクリや。
という批判をする人がいますが、それでも売れるということは、その日はその価格が適正価格だったという証拠であり、それこそ難癖です。

2016年7月13日水曜日

オフショア(タックスヘイブン)に対する正しい認識⑦

オフショア(タックスヘイブン)の二大看板「運用益非課税」と「秘匿性」のうち、秘匿性に関しては失われようとしています。

CRS(Common Reporting Standard)といいうものをご存知でしょうか?
これは、共通報告基準や共通報告様式と訳され、検索すれば様々な解説を読むことが出来ます。
詳しいことはそこに譲るとして、概略だけをここでは述べます。

この共通報告基準を適用する国家間は、自国の金融機関にある相手国居住者の口座情報を互いに年一回開示するとのことです。

例えば、日本と香港が適用国ならば、日本の金融機関にある香港居住者の口座情報を日本が香港に対して開示し、逆に、香港の金融機関にある日本居住者の口座情報を香港が日本に対して開示するということです。

かなり大雑把な説明かもしれませんが、国家間の情報開示ということになります。

そして、このCRS適用国は来年から一気に増えるようです。(日本も香港も来年から適用)
来年から適用国については、今年(2016年)末日の口座情報が開示の対象となるとの情報が入ってきています。

今後、「財産を隠す」や「所得を隠す」というような目的でのオフショア(タックスヘイブン)の活用は不可能となる方向性は確かなようです。

あなたは、このCRSに参加しないオフショア国や地域を探しますか?

それとも、「隠す」という目的以外にオフショアを活用しますか?

2016年7月12日火曜日

オフショア(タックスヘイブン)に対する正しい認識⑥

オフショア法人を大きく分けると次の二つとなります。

一つは、日本人または日本法人が株式を保有している通常のオフショア法人。
もう一つは、現地の人または法人が株式を保有し、日本人または日本法人は一切株式を保有しないオフショア法人。

後者は、俗にノミニー法人と呼ばれ、現地の人または法人をノミニー株主と呼びます。
そして、日本人又は日本法人はそのノミニー株主と契約を締結し、その法人を使う権利などを譲り受ける又は借り受けます。

この契約には様々な方式があるようで、法人の権利をほとんど譲り受けるものもあれば、一時的な借り受けのものもあるそうです。
また、単にその法人の銀行口座を使うことを認めてもらう契約などもあるようです。

いずれにしても、重要な取引に際しては、ノミニー株主の承諾が要求されることがあるようで、完全にそのオフショア法人を支配している訳でもないようです。

このノミニー法人は、タックスヘイブン対策税制の適用を受けるのか否か?
ということが、これから本格的に議論されることにどうやらなりそうです。


というのは、オフショアの一つの特徴が完全に打ち破られようとしているからです。

オフショア(タックスヘイブン)は、運用益非課税の他にその「秘匿性」という大きな特徴がありました。
その、秘匿性がこの前のパナマ文書のようにこれからは無くなる方向にあります。


香港を始めとするオフショア各国の金融機関(主に銀行)が、どうやらすべての情報を先進国に対して開示することになるとの情報があります。

開示されるのは、口座名義人及び口座残高。
そして、この口座名義人には、ノミニー法人のサイン権者名義も含まれるようです。

2016年7月9日土曜日

オフショア(タックスヘイブン)に対する正しい認識⑤

今回もタックスヘイブン対策税制について述べます。

子会社や関係会社の判定には、「持株基準」と「支配力基準」があります。

株式会社において、その議決権の50%超を保有すると、決議という多数決には必ず勝てます。
これをその会社を支配しているといいます。

通常、その会社の株式を50%超保有すれば支配できますので、子会社の判定は「持株基準」が基本となります。

しかしながら、株式は過半数有していないが融資を多大にしているor役員を多数送りこんでいるなど、実質的にその会社を支配している場合があります。
そこで、持株比率だけでなくこの実質的に支配している基準を設けたのが「支配力基準」なのです。

上場企業などの連結子会社に該当するか否かを判定する際には、この「支配力基準」を用いるということが連結会計基準で定められています。

では、タックスヘイブン対策税制における「外国関係会社」や「特定外国子会社」の定義、さらに合算申告義務の定義についてはどうか?

ここでは、株式の保有比率しか書かれておらず、完全に「持株基準」となっています。

つまり、その会社がタックスヘイブンにあっても、現地の人以外の日本人または日本法人及びその関係者が直接または間接的に50%超株式を保有していなければ、そもそも外国関係会社の定義からは外れるため、特定外国子会社には成り得ないということになります。

さらに、もし万が一特定外国子会社に該当したとしても、その会社の株式を日本在住の個人または法人が10%以上持っていなければ、その会社に留保した所得(利益)を合算して申告納税する義務はない。
ということになります。

我が国は、法治国家であり、租税法律主義により課税されます。
これは、税法その他の法律に従って課税されるということであり、その条文に定義されたことに当てはまれば課税されます。

逆に言うと、条文の定義から外れれば課税することは出来ないということです。

租税法律主義に則るならば、「持株基準」しか定義していないものに「支配力基準」を用いることは法治国家としては許されないということが原則となります。

2016年7月5日火曜日

オフショア(タックスヘイブン)に対する正しい認識④

では、タックスヘイブン対策税制について解説しましょう。

日本に居住する個人あるいは日本に本店のある法人は、世界中のどこで得た利益(所得)であっても日本で申告納税する義務があります。

オフショア(タックスヘイブン)において運用益非課税となるのは、そのオフショアに居住する個人またはオフショアに本店のある法人だけなのです。

そこで、こう考える人がいます。
よし、オフショアに移住しよう!なら良いのです。
移住すればオフショアの恩恵を完全に受けられますが、多くの日本人は仕事や生活の事情によりそうもいきません。

よし、オフショア(タックスヘイブン)に法人を作って、そこで資産運用をやろう!
それならば、確定利益にも日本の税金は掛からないはずだ。
と考えて、実際に行った人はいるでしょう。

それどころか、オフショアによっては運用益非課税のみならず、法人税も掛からない(あるいは極めて低税率)ところもある。
そこに法人を作って、その法人で事業を行えば、その利益には一切課税されないはずだ!
と考えて、実行した人もいるでしょう。

実は、この考えを封じるものが「タックスヘイブン対策税制」で、1978年度改正租税特別措置法で規定されています。

概要は次の通りです。
タックスヘイブン(実効税率20%以下の国または地域)にある外国関係会社が特定外国子会社等に該当し、かつ、日本人または日本法人がその株式の10%以上を保有する場合には、その特定外国子会社に留保された所得(利益)のうち、持ち株割合に対応する金額を日本人又は日本法人の所得とみなして、日本で合算課税する。

この文章を解説すると、
①現地の個人または法人以外の日本人または日本法人及びその関係者が、発行済み株式の50%超を直接的間接的に保有する会社が外国関係会社
②その外国関係会社がオフショアにあれば、特定外国子会社に該当する
③その特定外国子会社の株式を10%以上保有する日本人又は日本法人は、その所得を日本の個人または法人の所得に合算して申告納税しなければならない
ということです。

上記のような動機でオフショアに法人を作った人や法人は、この制度に当てはまるので、その願望は達成されないということです。







オフショア(タックスヘイブン)に対する正しい認識③

タックスヘイブン対策税制の説明の前に、第三回では証券会社におけるファンド(投信)積立と保険会社における変額年金の構造の違いについて説明しておきたい。

証券会社においてファンド(投資信託)を購入する際は、自己の名義でファンドを買い付けます。
ファンドの保有名義はあなたであり、証券会社はその仲介をするに過ぎません。

従って、ファンドの銘柄入れ替え(スイッチング)を行った際に利益が出た場合には、その利益はあなたに帰属することになります。
ですから、その証券会社が例えオフショア(タックスヘイブン)にあっても、これは確定利益として日本での納税義務が生じることになります。

一方、保険会社の変額年金は、加入者が預けた資金で保険会社が保険会社名義でファンドを買い付けます。
従って、ファンドの銘柄入れ替え(スイッチング)を行った際の利益は、保険会社が得た利益となります。
そして、その保険会社がオフショアにあれば、その利益には課税されないのです。

このように、「誰が」利益を得たのか?という主体は非常に重要なのです。

オフショア保険会社などの変額年金において、運用中の運用益には課税されずに繰り延べ効果があるのはこのような仕組みだからです。

ただし、満期金を受け取ったり、一部取り崩しをした場合の利益はあなたが得たことになるので、それは日本で申告納税をしなければなりません。

2016年7月1日金曜日

オフショア(タックスヘイブン)に対する正しい認識②

オフショア(タックスヘイブン)とは、資産の運用益(キャピタルゲイン及びインカムゲイン)に課税されない国または地域であるということを第一回では取り上げました。

第二回においては、その「主体」つまりは『誰が』課税されないのか?について解説します。

運用益非課税の恩恵を受けられるのは、その国または地域に居住する人及び本店のある法人ということになります。

例えばあなたが香港などに住所を移せば、運用益非課税の恩恵に肖れます。
しかしながら、日本に居住する限りは、香港などのオフショアで得た運用益に対して日本で納税する義務があります。

ただし、これは確定した運用益に対してであり、含み益には課税されません。
あなたが、日本の証券会社などで有価証券を購入して値上がりしていても、売却して利益を確定しなければ税金は掛からないのと同じことです。
(法人が売買目的有価証券を購入し、含み益がある場合には、評価益を計上して税金が掛かります)

話は戻りますが、私たち日本の居住者は、世界中のどこで得た所得に対しても、日本での納税義務があるのです。

ここのところが、オフショア(タックスヘイブン)に対する誤解の二番目ではないでしょうか?

オフショアの保険会社などで変額年金に加入した場合、運用中の運用益は含み益ですのでいくら膨らんでいてもそれは確定した利益ではないため課税されません。

変額年金というのは、加入者が保険会社などに預けた資金を元に、保険会社などが自己の名義で複数のファンド(投資信託)に投資して運用する年金です。
その保険会社などがオフショアに存するため、ファンドをスイッチング(銘柄入れ替え)をして利益を得ても、その利益には課税されません。
そういう意味においては、日本居住者も、オフショアの恩恵に肖れます。
(運用中の運用益には課税されないので運用効率が良い)


しかしながら、加入者が変額年金を解約(取り崩しという一部解約を含む)したり満期金を受け取ったりしたときに利益があれば、その利益を得る「主体」は日本居住者ですので、オフショアの恩恵は受けられません。


あくまでもオフショアの運用益非課税の恩恵を受けられるのは、そこの居住者またはそこの法人だけなのです。


では、オフショアに法人を作り、その法人名義で投資や事業を行えば、その法人はオフショアの恩恵を受けられるのでは?
理論的には正しい考えですが、それを封じる税法の規定がすでにあります。
それがいわゆる「タックスヘイブン対策税制」というものです。
これについてはまた次回。

2016年6月26日日曜日

為替介入より、追加金融緩和より、はるかに効果があること



英国のEU離脱による株安と円高を阻止するには、目先の為替介入や金融緩和よりも遥かに優れた方法があります。


それは、消費税を5%に戻す、いや、消費税を撤廃することです。

そもそも、デフレ脱却を掲げるならばお金を使うことに対して懲罰的な税を掛けること自体がナンセンス!

そして、それぞれの事業者の期首に遡って、モノやサービスを購入した人に消費税を返還することをやれば物凄い経済効果だろう。


消費税撤廃を公約に掲げれば、参院選は自民党単独で三分の二も簡単だろう。


えっ?
消費税を撤廃すれば、財政難になってしまう?


これこそ、望むところだ!

世界に対して、日本の財政に疑問を持たせ日本国債の格付けを投資不適格まで下げれば、安全通貨だと円を買う動きまで阻止できるだろう。


このように、消費税を撤廃することが、最大のインフレ政策であり、景気拡大、円高阻止政策なのです。


やれ!安倍さん。

2016年6月25日土曜日

世界的な金融緩和合戦に、日本は参加させてもらえるのか?

「リーマンショック級の危機が迫っている」
というサミットでの安倍首相の発言が現実となりました。
この発言を最も小バカにしたキャメロン氏が震源地になったのが、何とも皮肉なことです。


英国のEU離脱は,世界の金融市場に大変なショックをもたらしました。
当のイギリスとヨーロッパは追加の金融緩和を行うでしょうが、問題はアメリカです。


米ドルは、日本円に対してこそドル安(円高)方向に振れましたが、ポンドやユーロの急落によりそれらの通貨に対してはドル高が進行しています。
また、ニューヨークマーケットは大荒れです。


このような状況においては、米国も金融緩和に逆戻りせざるを得ないでしょう。

昨年、量的緩和をQE3で打ち切り、金融引き締めの方向に舵を切り利上げを行った米国ですが、緊急利下げと追加量的緩和QE4の方向に進むのではないでしょうか。


その時、もしリーマン後のように日本に金融緩和をするなという圧力がかかれば、また1ドル=80円になってしまうでしょう。


しかしながら、あの時の震源地が自国とは異なり、米国が金融緩和に進むとすれば、あくまでもそれは対ユーロや対ポンドに対してのドル高の食い止めが目的となる。


対日本円に関しては、今以上のドル安水準を望んでいるとは思えないので、今回は日本にも追加金融緩和を許すのではないかと私は見ています


為替レートは相対値であるため、世界中が量的緩和をして通貨供給量を増やすことによる通貨安競争をすれば、結局為替は動かないとなります。


日銀には、米国の金融政策をにらんで大規模な追加緩和を望みます。

2016年6月23日木曜日

オフショア(タックスヘイブン)に対する正しい認識①

パナマ文書からタックスヘイブンやオフショアという言葉を一般の方もよく耳にすることとなりました。
この、オフショアに対して誤解をしている方が非常に多く、また、トピックスもありますのでシリーズで解説をしていこうと考えました。

まず、オフショアとは沖合(対義語はオンショア:陸地)と訳されますが、一般的にオフショアとは税に関して沖合という意味で使われます。
同義語に、タックスヘイブン(租税回避地)があり、この二つは同じことを表すことになります。
よく、タックスヘブンと間違う人がいますが、それでは税金天国になり全く意味がなくなります。

オフショア≒タックスヘイブンとは、運用益に課税されない国や地域として知られています。
運用益とは、配当・利息などのインカムゲインと譲渡益などのキャピタルゲインをいいます。

日本から一番近いオフショア国は香港です。
香港は無税でよく国が成り立っているな?という人がいますが、香港は無税ではありません。
運用益は非課税ですが、法人税・所得税は日本に比べれば低いですがあります。(15%程度)

オフショアに対する誤解の第一はおそらくこれですね。

もちろん、BVI(ブリティッシュバージン諸島)のように法人税などまで無税のところもありますが、オフショアとは運用益に課税されない国・地域のことです。



2016年2月5日金曜日

積立通貨が上がれば、パフォーマンスは下がって当然

海外の年金積立をしている人の大半は、積立通貨に米ドルを選択していると思われます。
プロバイダーによっては、積立通貨に円を選択できるという日本人のことを考えてくれたところもありますが、ほとんどのプロバイダーはそこまで日本人のことに配慮して商品設計をしておりません。

それで、仕方なく米ドルや香港ドルあるいはユーロなどの積立通貨を選択されたのでしょう。

積立通貨が円ではない弊害は、実は二つあります。
一つはほとんどの方が実感されていることで、ここ数年の円安ドル高により、毎月の積立額が上がってしまっていることです。
まあこれは、たくさん貯蓄に回せていると考えるか、減額をすればいいのですが、もう一つの問題にはまったく気付いていない人が多いと思われます。


その問題とは、積立通貨であるドルが上がると、その上がったドルで評価したポートフォリオのパフォーマンスは悪く見えてしまうということです。

ポートフォリオが10%上がっても、その間にドルが10%上がると、ドルで評価したパフォーマンスはゼロとなり、ドルが15%上がるとマイナスの運用に見えることになるのです。

実際には、ドルが上がったことによりその分円換算額は殖える(為替差益)ので、私たち日本人にとっては+運用であるにも関わらず、ドルによる単純評価は元本割れに映ってしまうのです。


では、どうすれば本当の自分の運用成績をわかることができるのか?
面倒でも、以下のことを行うしかありません。

まず、今まで積み立てた積立の元本を円で集計してみてください。
そのためには、過去のカード明細をすべて引っ張り出して、毎月の円での請求額を知る必要があります。
この円での元本額は、将来満期金を受け取ったり取り崩しをした時の税務申告の際には必要となることなので、面倒でも今からエクセルなどで集計しておくことをお勧めします。

こうして、集計した今までの積立金の円貨合計額と、運用レポートなどに記載されている時価総額の円換算額を比較すれば、円でのパフォーマンス=本当の運用成績を把握することができるのです。

その運用成績は、ドルでの表面成績よりも良いはずです。





2015年11月21日土曜日

詐欺以外で利回り数十%を追求出来る方法

あなたが現金1千万円を運用したいと考えているとしましょう。                                                                            「〇〇に投資したら毎月2%の配当が貰えますよ!」という悪魔の囁きに引っ掛からないでください。                                                      銀行などの金融機関以外にお金を預けて、月に数%(年に数十%)の配当がありますという話は100%投資詐欺と見て間違いありません。                                                                                                                                                 では、手元のお金を年間数十%の利回りで運用するのは、絶対に不可能なのでしょうか。                                                            日本は(というよりも先進国は)、超低金利ですから利息収入はまず期待できません。                                                              反面、超低金利だからこそ借入金の返済利息も微々たるものです。この超低金利を活用すれば、高利回り運用は可能となります。                                                                                                                                                       詳しく説明しましょう。                                                                                                      賃貸アパートやマンションなどの収益不動産の家賃利回りは、現在高くても8%程度です。                                                           地方の小さいアパートなどを現金1千万円で購入すれば、家賃は年間80万円ほど得られることになります。                                                投下した自己資本は1千万円で、得た年間利益は80万円ですから、自己資本利益率ROE(リターンオンエクイティ)は、80万円÷1千万円×100=8%。                    これでは、とても利回り(自己資本利益率)が月に数%や年に数十%にはなりません。                                                                                                                                                                                   そこで、資本効率を上げるために自己資本を膨らませる運用が必要になります。(自己資本にレバレッジをかけるという)                                         自己資本1千万円を頭金にして、銀行から9千万円を借り入れて1億円の賃貸マンションを購入することを考えてみましょう。 (10倍レバレッジをかけた運用)                  家賃利回りが8%とすると、年間家賃収入は800万円で月に直すと67万円ほどになります。                                                                                                                                                                              一方、9千万円を年利2.8%30年間元利均等返済という条件で借りていたとしましょう。                                                            月々の元利金支払い額は37万円ほどとなります。そうすると月の手取り額は、67万円-37万円=30万円となります。(キャッシュフロー30万円/月)                     投下した自己資本1千万円が月に30万円のキャッシュフローを生むので、月に3%の運用ができているということになります。                                     年間で考えると、1千万円が360万円の利益を生むので、利回り(年間自己資本利益率)はなんと、36%ということになります。                                                                                                                                                         このように、超低金利を利用した不動産投資が、手元にある自己資金を年間数十%で運用できる唯一の方法なのです。

2015年11月3日火曜日

最新の投資詐欺の「エグイ」手口

投資詐欺には一定の型があることを前述しました。                                                                                    投資家から一括でまとまったお金を預かる。                                                                                        それをFX、日経225などで運用した利益から、毎月投資家には配当し、エージェントと呼ばれる代理店にはマージンを支払う。                                      代理店から勧誘された投資家は、運用を行う胴元に直接お金を振り込むという完全斡旋型が従来の投資詐欺の主流でした。                                      古くはオールイン、121ファンド、スピーシーアービトラージなどこの型の典型です。                                                                 胴元は運用益から(本当は運用などしていませんから、実際には新規の投資家のお金から)一次代理店に月8%の権利を与える。                                   一次代理店はそこから3%抜いて5%の権利を二次代理店に卸す。                                                                         二次代理店はまた3%抜いて2%の配当権利を投資家に渡す。                                                                            そして、このマージンの仕組みも完全斡旋型になっておりました。                                                                           投資家には月2%の配当が直接胴元から支払われ、一次代理店及び二次代理店には差額マージンが月3%直接胴元から支払われていました。                         このような完全斡旋型の投資詐欺の場合、投資家は直接胴元にお金を預けていますので、破綻した場合の矛先は胴元に一極集中します。                             代理店はあくまでも斡旋や紹介をしただけで、お金のやりとりを投資家とはしていませんでした。                                                        そのため、胴元だけが責任を取らされてきたのです。                                                                                   詐欺師(胴元)たちは、これでは割りが合わないと考えたのでしょう。                                                                          最新の投資詐欺においては、お金の流れを一新し、胴元が責任を負わされず、末端の代理店に責任を集中して押し付けるというシステムにしたようです。                    まず、二次代理店に自社社債を発行させて投資家からお金を集めさせる。                                                                     二次代理店がそうして集めたお金を一次代理店に預けさせる。                                                                            そして一次代理店は胴元に預ける。                                                                                              マージンも、胴元は一次代理店に支払う。一次代理店は二次代理店に支払う。                                                                   そして二次代理店が投資家に配当(社債のため実際は利払い)を行う。                                                                        いかがでしょうか?                                                                                                        この進化した投資詐欺の手口においては、投資家はあくまでも二次代理店の社債を購入した訳で、破綻した場合の矛先は当然ながら二次代理店に向かいます。               胴元はあくまでも一次代理店としか取引をしていませんから、投資家から訴えられるリスクがありません。                                                  二次代理店がお金を預けたのは一次代理店ですから、二次代理店は胴元を詰めることも出来ません。                                                    胴元は、従来の完全斡旋型のまったく逆で、最も安全な立場になっているのです。                                                                 この新しい手口においては、社債を発行して投資家からお金を集めた二次代理店が一極集中でババを掴まされたことになります。                                   投資家から訴えられるのは二次代理店。                                                                                          また、形式上は少人数私募債でお金を集めていますが、実態は運用資金を集めておりファンドの募集ですから無登録第2種金融商品取引業ということに問われかねません。        最新の投資詐欺の胴元はエグいですね。すごい悪知恵です。

2015年10月27日火曜日

そんな運用を本当にできるならば、金なんか集める必要はない

121ファンド、スピーシーアービトラージ、みずほ銀行行員詐欺、M国金ファンドなどなど、投資詐欺には一定の型があります。


まず、エージェントと呼ばれる代理店が暗躍し、客のまとまった金(数百万円から億単位まで)を胴元に預けさせる。

客には毎月2%程度の配当があると説明されている。
そして、エージェントはその客の上に乗っかっており、毎月数%のマージンを貰えるようだ。

エージェント組織は多段階になっており、胴元に繋がる根っこエージェントには月に8%程度の権利が与えられ、そこからマージンを抜いて傘下のエージェントに権利が渡されて、末端の客には2%程度の配当権利が卸されるという仕組みらしい。


胴元がエージェント組織に毎月8%のマージン(及び配当)を出すためには、少なくとも月に10%以上では運用しなければならない。(胴元も利益を得るため,あるいは経費が掛かるため)

毎月10%の運用益を出せる天才トレーダーや画期的運用法などは存在しないとよく説明するのだが、それでもわからないアホがまだいるようなので、今回は別の観点で一刀両断しておきたい。


もしあなたが、本当に月に10%の運用益を安定的に出せる天才トレーダーになったらどうしますか

そのうちの8割を他人にあげなければならないのに、金集めをしますか?

それとも、何とか種銭を作ってその自己資本をひたすら運用しますか?

 自己資本をひたすら月に10%で運用したら、5年後には何倍になっていると思いますか?


 自己資本を月に10%で運用すると、一月後には1.1倍になっています。

そして、その次の月は1.1倍になった種銭を運用できます。(自分の金やから、誰にも配当しなくていいですからね)

そうすると、二ヶ月後には1.21倍になっています。
これが複利運用というものです。

1.1倍の1.1倍は1.21倍。
その1.1倍は1.331倍。
そのまた1.1倍は1.4641倍というように資金は雪だるま式に殖えていきます。

1年後には3.318倍に。
2年後には9.849倍になっています。
3年後に30.91倍になり、4年後には97.01になります。
そしてなんと!5年後には304.48倍にもなるのです。


最初の種銭(自己資本)が100万円でも3億円に、一千万円ならば30億円に、1億円ならば300億円になるのですよ。


本当に月に10%で安定的に運用出来るならば、金集めをする必要など全くないことが、こうして計算するとよくわかるでしょう。


金集めをすること自体が、本当はそんな運用が出来ないことの何よりの証拠なのです。

2015年9月10日木曜日

税金と思って支払ったものが国庫に届かない制度は異常②

以前にも書いたが、消費税が国庫に届かない制度の改訂を強く願います。

消費税率のアップ反対よりも、この理不尽な制度の改訂をすることのほうがよっぽど重要なのですが、国民の99.9%が気づいていないと思われます。

国内取引において、消費税の納税義務者は「課税事業者」に限定されています。
逆の言い方をすると、免税事業者と消費者は他人から預かった消費税を納税する義務が免除されているのです。

この制度のせいで、あなたが消費税として支払ったお金が国庫に届かないことが結構生じることとなります。

例えば、免税事業者からあなたが何かの商品を買ったとします。
うちは免税事業者だから消費税を預かりませんとわざわざ断る業者は皆無ですので、当然のように消費税を預かります。
免税事業者は納税義務がないので、あなたが税金と思って支払ったお金は国に納税されずにその業者の利益に化けるのです。


また、課税事業者からモノやサービスを買っても、消費税が国庫に届かないこともあります。
中古車をあなたが課税事業者の車屋から300万円で購入したとしましょう。
24万円の消費税を、高いなと思いつつも税金だからしょうがないと思いあなたは支払います。

その中古車を270万円で仕入れていたとしましょう。
仕入れに係る消費税は21万6千円で、これは仕入れ税額控除の対象となり、差額の2万4千円をその車屋は納税します。

その仕入れを課税事業者からしていれば、転嫁された消費税はそこの納税義務となるのでいいのですが、消費者から買い取っていた場合はどうでしょうか?
(消費者が車を売却する際には、税込み価格(この場合291万6千円)で買い取られるため、消費税を預かるという自覚はないと思いますが、実際には間違いなく預かっているのです)

消費税を預かった消費者には納税義務がないため、あなたが消費税と思って支払った24万円のほとんどが国庫に届かないのです。


このように、課税事業者のみが納税義務のある今の制度では、消費税が税金として国に収められない例が数え切れなくあります。

このことを知ったら、消費税を預かったすべての者に、納税義務があるようにしないとならないと感じるのは私だけでしょうか?


税金と思って支払ったものが国庫に届かない制度は異常

10月施行の消費税改正は、悪法極まれりと感じています。

どのような改正(改悪)かをまず説明しましょう。
国境を越えた役務の提供の国内取引判定は、今までは役務の提供をする者が国内かどうかにより判定していました。

ですから、国外の事業者から画像・映像・音声などをダウンロードするサービスは国外取引として消費税の課税対象外でした。

今回の改正は、国境を越えた役務の提供のうち、電気通信利用役務の提供(インターネットを介した音楽配信など)における国内取引判定を、役務の提供を受ける者が国内かどうかに変えたのです。

このことにより、10月以後は、国外業者から画像・映像・音声などをダウンロードするサービスは国内取引となり、消費税の課税対象になります。

これは、国内事業者との公平性の観点から行われたのでしょうが、これには大きな問題があります。

それは、サービスを使った消費者が消費税として支払うお金が税金として国庫に届かないことが予測されるからです。
国外事業者が預かった消費税を日本に納税するとは思えないのに加えて、国外事業者は基準期間(二期前)の課税売上高が1千万円以下であるため、そもそも約二年間は納税義務がないのです。

またひとつ、税金だからしょうがないと思って消費者が支払うお金が、税金として国庫には届かずに業者の利益に化けるという制度を作り出してしまうのは不合理に思えて仕方ありません。